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The Taoiseach

勉強

レッスンの後,慶應へアイルランド首相(Taoiseach:ティーショック,とかティーシャッハ,とか読みます),ブライアン・カウワンの講演を聴きに行った。私が到着したのがどうも大使か,それともひょっとしてカウワン本人か,とにかく要人と同時であり,物々しい警備の中,要人の1人のような顔をして会場に入った。
慶應の北館というのがまたすごいところで,同時通訳ブースがあった。同時通訳のレシーバーを貸し出されるのだが,いざ使ってみるとこれが,片耳からは英語が入ってくるのに,ヘッドホンの着いている片耳からは日本語(しかもちょっと遅れて)が入ってくるという有様で,すぐに頭の中がごちゃごちゃになったのでレシーバーを外してリスニングに徹することにした。幸い,カウワンさんはわかりやすい英語をお話しくださる方で,英語の苦手な私にも理解は可能であった。
お話の内容というのは,まぁ,スピーチだなといった感じ。特に「おお,素晴らしい」というような視点のお話はなかったが,無難なことをかいつまんでお話されていた感があった。メインテーマはEUとアイルランドの関係だったので,あわよくばアイルランド語政策に関して国家としてはどう思っているのか聞けないかしらなどという私の目論見は見事に打ち砕かれた。横に座っていた先輩がオバマ新政権発足後の対米関係に関してどうお考えかという旨を質問されていて,それがIrish times紙に取り上げられていた。ただ,市民レベルに残るプロテスタントカトリックの対立について国家としてはどう対処していくつもりかという質問に対しての首相の答えは,ちょっと私にとっては心に残るいい答えだった。一緒になるには,あるものをあるがままに受け入れることが必要なのだと。それはEUも一緒であると。
ところで,私はこの講演があると知ったときからある妄想をしていた。会場で例えばじゃんけんでもして,負けた人が質疑応答で挙手し,「イギリスとは合同なさらないのですか」と聞く,もしくは「Return to the union!!」と叫ぶ……もちろんこんなことを実践したら大問題である。国際問題である。むしろ国交断絶である。だから,断じて言うが,これは単なる私のブラックユーモアなのである。
と思っていたが,質疑応答でとんでもない間違いをしてしまった方がいた。「……ということに関して,ブラウン首相はどうお考えなのか云々」という質問をしてしまったのである。これをオンタイムで聞いたときには,私は一瞬自分の耳を信じることが出来ず,ああ,きっと「ブライアン」首相と言ったに違いない,と思った,というか思い込もうとしたのだが,やはりブラウン首相と言ってしまったらしかった。質疑応答は日本語でも大丈夫なので,通訳の人がきちんと「Mr. Cowen」と直してくれていることを願うばかりであるが,さすがにアイルランドの首相をUKの首相と間違うのはちょっと,新聞でちょこっと取り上げられてもおかしくないくらいの間違いである。というわけで,椿事であった。