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ため息が白く空に溶ける

ピアノ

今日の演奏は近年稀に見るボロボロなものであった。水の精になりきって浮気男を湖に沈めるつもりでいたが,一歩足を踏み入れると,そこは湖というより泥沼であった。個人的には足の踏み入れ方が悪かった。最初に出た音がイメージと違った。それだけでもう,かちーんと緊張してしまった。
このためにご足労いただいた方々にはもう,伏して投石を受け止めると同時に,ここにいらっしゃるのにかかった交通費含む諸費用+迷惑料(1000円くらいでいかがでしょうか),時給換算で1000円/1hの拘束料等々,自己破産をしてでもお支払いしたいほどである。ピアノも人間関係も恋も受験も,お金で解決がつくならどんなに楽だろうね。実際はそう甘くはなくて,聴いてくれた人はみんな笑って「よかったよ」と言ってくれるわけで,聴いてくれた人が楽しんでくれたならまぁいいかなと思いつつ,それでも自分はやっぱり納得できていなくて苦しかったりする。
以前にみほちゃんからいただいた田崎悦子先生のリサイタルのチラシに,「昔の恋人と再会するような気持ちでこれらの曲と向かい合っています」と書いてあったが,曲と奏者との関係を恋に例えるというのは的確かもしれない。私の場合は卒演が終わってから9ヶ月間ずっと同じ曲と向かい合ってきたわけだが,それは長い片想いに終わったわけだ。やっぱり9ヶ月練習して,あれはちょっと許しがたい。ラヴェルを弾いていたからとか,そういうのは言い訳にならない。これは片想いが実らなかった経験のある人間ならではの痛みであり悔しさなのだろう。私の今まではいったい何だったんだろう,という。ラヴェルとはほぼ蜜月だったから。もしかしてこれが「切なさ」というやつ?
これはダメ男を好きになる心境と似ている。どうがんばっても合いそうにない,向こうは私に興味がない,向こうが私に合わせてくれる気配もない,なのに好きなものは好きだから仕方ない,何度ふられても諦めきれない。これまで3度挑戦して2度失敗したところを見ると,私のショパンへの想いは,どうやらそんな感じであるようである。ショパンの恨みはショパンで晴らす,ということで,次はバラード2番に全力を注ぎます。応援よろしくお願いいたします。
終了後,コンパに行くお金と余裕はないのだけど,ご飯は食べて帰りたい,という私の手前勝手な希望に付き合ってくれた友人が数名いて,5人で連れ立ってTAPAに入った。スペイン風もつ鍋(!)やらギアラとイベリコ豚のトマト煮込みやら,スペインバル的なタパスをおいしくいただきながら,各々の近況報告やら悩み相談やらに花を咲かせた。「私ダメ女なの!」という某嬢の叫びがとても印象的であった。でもねぇ,まぁ,一生に1回や2回くらい,ダメ女でもいいと思うんだ。ただし,期間限定で,だけど。人間そんなに計画通りには生きられませんよ。これがダメならあれ,だなんてそんな,無理な話ですよ。少なくとも私には。
それからとても嬉しいことに,サプライズで2日後の誕生日を祝っていただきました。幸せすぎて,もう彼氏なんていらねーと思った(言ったな?)。