読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

私ではなくあなたがどうしたいか言って

映画


駒場に来たついでに,Bunkamuraル・シネマで前から気になっていた「エレジー」を見た。何が幸せって,あ,映画見よう,と思ってすぐに見られることがとても幸せである。時間の余裕と交通の便ありきの贅沢な楽しみ。
サティのグノシエンヌ3,4番が要所に流れていて,最初は安易な選曲だなぁと思ったが,よくよく考えるとサティのもつれる旋律は,ケペシュとコンスエラの関係にぴったりだった。不協和音なのだが不協和音でない。不安にさせつつ心地よい。サティの音楽のエロティシズムに関して「パンツくらい履けよって感じ」と評していたのはmommyさんだったが,私はそのモロ出しな感じが何とも言えず好きです。と言っても,それは他人事だから言えることなのであって,ケペシュとコンスエラのような関係がもし身近で起こっていたら,あるいは自分に起こっていたら,それはそれで非常に居心地が悪いのだろうけど。でもこの2人は,年齢が30歳違うというだけで,抱く悩みやらすれ違い方やらは,全く普通のカップルだった。「私ではなくあなたがどうしたいか言って」。なんで別れを切り出そうとするときに,自分がそうしたいからという理由ではなく,これは君のためでもあるんだよという理屈をつける男性が多いのかしら。自由,自由,酷い言葉ね,冷めた男が女にめぐむ。すぐ中島みゆきに走るのはいつもの私の悪い癖です。
様々なはかなさや移ろいやすさが,この映画には多く登場する。恋愛のはかなさ,美しさのはかなさ,若さのはかなさ,生のはかなさ,等々。社会人の方々がこれをご覧になるなら,もし定時に終われたらだけど,金曜日の夜の回がよろしいかと思います。じゃないと,色々考え込んでしまって,おそらく眠りが浅くなるし,次の日に持ち越してしまう。