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イル・ポスティーノ

映画


movie plusでやっていたのを録画して,昨日見た。名作との誉れ高いこの映画を見るのは,恥ずかしながらこれが初めてであった。
「(ネルーダが)女に人気の詩人か」「人民に人気の詩人だ」という掛け合いなど,素朴な会話にユーモアがありつつ,ネルーダの詩の「理髪店のにおいに私は叫ぶ 生きていることに疲れたと」という一節に対して,マリオが「(自分が今まで言い表せなかった気分を代弁してもらったようで)うれしかった」と素直な感想を述べるところなど,地味なシーンなのだが本当に感動した。私はむしろこのマリオの感想に対して,「うれしかった」と思った。素敵な言葉を見て,ああ素晴らしいとか,美しいとか,そういう感想を抱く前に,直感として押し寄せてくる感情というのは,確かに「(こんな素敵な言葉に出会えて)うれしい」ということ。それは恋にも似ている。
言葉の力との出会い,隠喩という表現法との出会い,ネルーダとの出会い,ベアトリーチェとの出会い,この映画ではそれらが絶妙に折り重なって,ストーリーが進んでいく。マリオにとって,全ての出会いの持つ意味や,出会った対象への気持ちは微妙に異なりながら,しかしその根底にあるのはすべて,出会えてうれしいという素直な気持ちなのだろう。何かに出会うことに,意味などなくていいのかもしれない。素直に,うれしい,と思える出会いなのであれば。
以下は結末なので,一応隠しておきます。まぁこんな有名な映画,今更という感じかもしれないけれども。
しかしイタリア映画というのは,この「イル・ポスティーノ」にしろ「ライフ・イズ・ビューティフル」にしろ,ほのぼのと続けておいていきなり最後に主人公を殺すなあ,と思った。まぁ「ライフ・イズ・ビューティフル」は納得できるにしても,これは。ショックすぎて付いて行けず,しばらく経ってから悲しくなりました。