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ハリー・ポッターと謎のプリンス

映画

ハリポタ謎プリを見てきました(「あけおめことよろ」的略し方)。
ハリー・ポッターシリーズをすべて読んでいる方にはお分かりの通り,5巻と6巻と7巻のほとんどは閉塞感に満ち満ちており,ヴォルデモートは蘇るはダンブルドアは死ぬは,でほとんど何もいいことがない。したがって前作から映画も見るのが億劫だったのだが,それでもやはり忠誠心から見に行ってしまった(私の行動モチベーションの第2位くらいには来る「忠誠心」)。いかんせんこのシリーズがなければ,高校時代に英語の成績をいきなり上げることもできなかったし,おそらくはイギリスや西洋世界により強い,それこそ大学では西洋の基層文化をやりたいと思うほどの憧憬を抱くこともなかったのである。しかしそういう個人的興味がなくても,21世紀においてイギリスや西洋世界がいきなりこんなに日本人の身近になったのはやっぱりこのシリーズの功績が大きいと思うので,イギリス関係,ひいては西洋関係のことをやっている方はすべからくこのシリーズに忠誠心を持つべきである,とすら私は思う(というのは過言だろうか)。
で,この映画ももう今回はDVDでいいかななどと思いながらも,いやいややっぱりと忠誠心100%で見に行くことを決めたもので,気が進まなくて仕方なかったのだが(おまけに3時間近くもあるということを知って絶望していた),意外にも映画は面白くできていたと思われる。もしかすると絶望100%で,「期待せずに」どころかむしろ「どうせ1000円(いやネットで予約したから1100円)無駄にする」ことを期待しつつ見ていたような映画だったからこそ面白かったかもしれない。忠誠心がどうのとか言っている割に酷い言いようだが,巷の意見は確かにそのようなのである。原作を読んでいないうちの妹は「シリーズ中最悪」と酷評していたし,昨日も同じ映画館で同じ時間に映画を見たらしい男の子2人連れが電車の向かいの席で話していたのを聞くともなく聞いていると,どうも1人は読んでいて1人は読んでいない様子だったのだが,その「読んでいる」方がしきりに「読んでいない」方に弁明しているのである。「まぁ,読んでなきゃそうだよな……いや俺は読んだからさ,まぁこんなもんかな,って感じなんだけど」。まぁでも私の意見としては,「まぁこんなもんかな」よりはもう少し高評価をあげたい。だってあの……えーと……まぁいいやもう言ってしまえつまらない第6巻を,こんなに「見られる」映画にするというのは,どう考えてもデイヴィッド・イェイツの腕である(つまり,ローリング女史の腕ではないと言いたい)。ダンブルドアの最期の描き方は,どう見ても『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフが奈落に落ちるシーンをパクってオマージュしているようにしか見えなかったが。いや,実際原作でもああなんだが。アバダ・ケダブラ魔法は一瞬で人を死にいたらしめてしまうので,死に伴う感動的なシーンが描けないというのが玉に瑕かもしれない(しかしアバダ・ケダブラとステューピファイは使いようによっては医療に有効なのではないかと,去年「死ぬ権利」を履修した私はちらっと思った)。何はともあれこのシリーズを映画化する上で,もっとも監督の腕が問われるのは5巻と6巻じゃないかと思うので,その点では大満足の出来でした。私は評論家か何かか。ちなみに今回の見どころはドラコ・マルフォイ役のトム・フェルトンであると私は思う。特に最後,ダンブルドアと対峙するシーンの演技はすばらしかった。『アンナと王様』のルイ少年がこんなに立派に成長したなんて,お姉さんは感無量です。
さて,夏休みに見ようと思っていた映画はひと通りこれで見終えたことになる。9月中旬には『男と女の不都合な真実』『ココ・アヴァン・シャネル』が公開されるが,それまでしばらくは見たい映画もないかと思う(確認もしたが,大丈夫そうだった)。実家では鬱々と修論執筆に打ち込むことができそうです。たまにはDVDでも借りよう。なんせ向こうでは,いつ借りても旧作100円だし。