読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

剣舞の心得

余暇

今日はアイルランド史における「マイノリティへの無邪気な自己投影」*1と,それを克服することで新たな視座が開ける可能性,および私の研究テーマがどのように関わるかについて文章をしたためようかと思っていたのだが,入浴後に急に眠くなってしまったのでまた今度にする。しかしこれだけは絶対に書いておきたいのは,祖父母の家で見つけた『詩吟の詠い方』という本に書いてあった(祖母は詩吟の師範代だかなんだかである。吟じます)「剣舞の心得」。

心の準備

剣舞を舞うときは,宏大豪気なる気を腹中におさめて下腹に力を入れ,眼は常に客席に据えて,怯懦の心があってはならない。武芸試合は相手は一人であるが,剣舞は満座の客五千を一刀のもとに皆殺しにするような気構えでやれば臆することがない。

なんという迫力あふれる文章。例えば友達が詩吟をやっていて,剣舞も見られるからとかいう軽いノリで舞台を見に行ってしまったら,「一刀のもとに皆殺しに」されてしまうかもしれない。しかし「臆することがない」って,そんな気構えを持つことができるような人は最初から臆したりしないのではないでしょうか……と思ったが,そんなことを口にするとこれまた「一刀のもとに皆殺しに」されてしまうかもしれないので黙っておく。
しかしこの文章,いろんな所に応用できる。試しに自分のパターンで応用してみた。やはり文章を読むだけでアグレッシヴな気分になってくる。皆様も勇気を出したい時,いろいろなパターンでどうぞ。

応用パターン1:ピアノの場合

ピアノを弾くときは,宏大豪気なる気を腹中におさめて下腹に力を入れ,眼は常に鍵盤に据えて,怯懦の心があってはならない。レッスンは相手は一人であるが,演奏会は満座の客五千を一音のもとに皆殺しにするような気構えでやれば臆することがない。

応用パターン2:研究報告の場合

研究報告を行うときは,宏大豪気なる気を腹中におさめて下腹に力を入れ,眼は常に客席に据えて,怯懦の心があってはならない。面談は相手は一人であるが,研究報告は満座の客五千を一言のもとに皆殺しにするような気構えでやれば臆することがない。

応用パターン3:恋愛の場合1

告白を行うときは,宏大豪気なる気を腹中におさめて下腹に力を入れ,眼は常に相手に据えて,怯懦の心があってはならない。告白は相手一人を一刀のもとに瞬殺するような気構えでやれば臆することがない。

応用パターン4:恋愛の場合2

バレンタインデーのチョコレートを渡すときは,宏大豪気なる気を腹中におさめて下腹に力を入れ,眼は常に相手に据えて,怯懦の心があってはならない。バレンタインは満座の客五千を一口のもとに皆殺しにするような気構えでやれば臆することがない。

応用パターン5:恋愛の場合3

合コンを行うときは,宏大豪気なる気を腹中におさめて下腹に力を入れ,眼は常に男性陣に据えて,怯懦の心があってはならない。デートは相手は一人であるが,合コンは満座の客三〜四人を一刀のもとに皆殺しにするような気構えでやれば臆することがない。

考えてみれば世のハウツー本というのはどうも軟弱ですね。これくらい力強くないと,背中も押されない。私は中学の頃から今にいたるまで,背中を押して欲しいがために何かと相談を持ちかけてくれる友人の背中を蹴飛ばしているのだが,最近はどうも自分自身があまりうまくいっていないために,友人へのアドバイスも軟弱になりがちである。この詩吟書のように,突撃あるのみといったアドバイスができるような,鬼軍曹な私に戻りたいものである(軍人系女子大生)。

*1:

暴力と和解のあいだ 北アイルランド紛争を生きる人びと

暴力と和解のあいだ 北アイルランド紛争を生きる人びと