読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ハチミツとクローバー

映画

ハチミツとクローバー [DVD]

ハチミツとクローバー [DVD]

この映画をいきなり見た理由は2つある。1つはこの前のコンサートで翔くんがとてつもなく格好良かったことで,もう1つは最近母ともども「アオゾラペダル」にハマっていることである。そうきたらもう,ハチクロしかないでしょう。
駄作だの何だのと,あまりいい評判は聞かない映画ではあるが,私は非常に気に入った。少なくともドラマ版の200倍はよかったと思う。翔くんが何たらとかいう色眼鏡で見ていたわけでももちろんない。というのも,翔くんは作中でまったくオーラがなかったのだ。悪い意味で言っているのではない。まさに竹本くんだったのだ。竹本くんに限らず,全てのキャストが然るべき配役で,漫画の実写化でこんなにしっくりくるのも初めてな気がする。はぐちゃんはどう考えても蒼井優だし(成海璃子ではありえない),真山もやっぱり加瀬亮が正解だと思うし(向井理くんは格好良いけれども,真山のどうしようもない感じにはそぐわなかった),森田さんは圧倒的に成宮より伊勢谷友介である。山田あゆみは難しいところではあるけれども,やっぱり線の細さという面で関めぐみに軍配である気がする。あとは理花さん,これだけはもう自信を持って言えるが,瀬戸朝香より西田尚美であった(そういえば瀬戸さん,妊娠おめでとうございます)。
片想いだろうが両想いだろうが恋は楽しいだとか,好きな人がいるだけで幸せだとか,よく言われることであるが,とんでもないと思う。片想いなんて,苦しいばっかりですよ。プライドはあってないようなものと化すし,なりふり構って「ない」自分をふと発見してしまったりした暁にゃーもう自己嫌悪でいっぱいになるし(なにやってんだ私),いつまで経っても返信が来ないメールを待って1分に1回携帯を見ていて時間が経つのが恐ろしく長かったりするし,何も手につかなくなって1日くらい簡単に無駄になってしまうし,やっとのことでデートにこぎ着けたかと思えば,服で悩み,髪型で悩み,化粧で悩み,話題で悩み,緊張に悩み,家に帰ってきたときにはもうへとへとになっているし,楽しい事なんて片手で足りるくらいしかありゃしないのだ,本来。片想いが楽しいなんてことを言える人は,その後に「来るべき」両想いの日々が約束されているからそんなことが言える恋愛の達人であると信じて疑わない。実るかどうかわからない,いや実る可能性のほとんど見えない片想いを続けている自分なんて,もう単なる,本当に単なる,ダメ人間でしか有り得ないのだ。要するにもう着ない服が捨てられない人間と一緒で,ほとんど来る可能性のない「また着る機会」のために目をつぶって引き出しの奥に押し込んでおく,そういうタイプの人間でしか有り得ないのだ。思い切ってそれを1枚捨てれば新しい服を買ってそこに入れることができる,その機会の方がよほど現実味があるというのに。書いていると悲しくなってきてしまったが,この作品の良さは何よりも,片想い/恋の残酷さというのを見事に描いたところにある。そしてそれは今まで,少女漫画が隠蔽し続けてきたことに他ならない。人を好きになることは確かにすばらしいことだし,実際に自分の成長にもつながるけれども,それに伴って訪れる痛みや悲しみや苦しさや切なさやその他諸々の負の感情は,美しくなどない(美しいと感じるのであれば,それはどこかですり替えが行われている)。要はその「美しくない」ということを認めて受け入れていけるかというところで,心の強さが試されるのだろう。美しくない自分とか,格好悪い自分とか,みっともない自分とか。
と言ってもこれは私が勝手に見つけたことではなくて,某ゲイちゃんに言われてはっとしたことである。女の子は格好良く生きていこうとしすぎだと。もっと格好悪く生きていけばいいじゃないかと。私はそれを聞いてずいぶん救われた気がした。だからゲイちゃんに「軍人」だとかどんなに酷いことを言われようと何も言えないということはさておき,この映画のキャラクターたちも最後,それぞれに救われている。片想いは成就しないまでも。それを見ていて,よかったなぁと思う。そんな風に感じさせてくれる恋愛ものも,そうないのではないかと思う。なかなか素敵な映画でした。
ついでに嵐の「アオゾラペダル」はPVがドラマ仕立てになっていて秀逸ですので,ご興味お持ちの方はぜひ動画サイトででもご覧ください。