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学会報告2009

勉強

院生になってからというもの,学会やら研究会での発表にお声をおかけいただける機会が増え,私にとってはこれこそが「院生になったんだなぁ」と実感できる瞬間の最たるものであります。そして今日もまた,学会で報告させていただいたのでした。
去年は,所属学会の月例研究会での報告だったが,今回は私が所属しているわけでもない学会の年次総会の個別報告のトリという,身分不相応にもほどがあるんじゃないか的ポジションをいただいていた。ただ歴史系の報告を最後にまとめたというだけなのかもしれないが(今回は言語学系が主だった),ピアノの演奏会以上に辛い責務でありました。だってピアノは曲がりなりにも17年間弾いているが,歴史なんてまだ4年目である。
どうせ今までやってきたことしか出るはずもないので,緊張したりはしなかったけれども,ピアノの本番よりも嫌なことがあるとすれば,こういうプレゼンでは聴衆の表情が見えてしまうことですね。ピアノは聴衆の方を向いているわけではないし,第一そんなところにまで気が回らないので,演奏しながら反応がまざまざとわかってしまうことはないが,プレゼンだと明らかに「何あたりまえのこと言ってんのこいつ」とか,「ていうか誰こいつ」とか,そういう声なき声が聞こえてくるのが辛い(もっとも内容は被害妄想がかなり入っていますが)。歴史系の先生方は時折うなずいて聞いてくださったり,メモを取りつつ聞いてくださったりして,たまに眼に入ってくるそれが実に励みになったのだが,言語系の先生方のつまらなそうなことと言ったら,もう。これじゃあいけないなと思ってしまいました。歴史以外の人が聞いても楽しい報告というのが理想だったのだけれども,やっぱりそれは力不足というものだったか。
今回つくづく気づいたことは,とてもいい題材を扱っているし,そのために使っている史料も超一級のものを使っているのに,私の腕の問題でものすごくもったいない使い方をしてしまっているということである。よく,素材と料理人の腕に例えられるけれども。その良さが出し切れていないところなど,まだまだ分析が足りないらしいと痛感してしまった。あと1ヵ月半でどうにかこうにか。
フロアには知り合いの先生方も何人かいらしていた。その中の1人の先生から「この史料をクリティカルに使っていますか」と言われ,えっとあのその,使っていたつもりではあるんですけど,としどろもどろに答えたのだが,そのあと先生方と坐・和民で食事していたとき,「さきほどのご質問ですが,先生は具体的にどんなところにクリティカルさが欠けているとお感じになりましたか」と尋ねてみると,「あら,私は『欠けている』とは言ってないわよ,『使っていますか』と聞いてみただけで。うふふ♪」と言われ,くらっとした。そんな楽しい(?)エピソードもありつつ,最初に思いもよらなかったところを突っ込まれてフロアの先生方に援軍を出していただいたりもしつつ(でもいいご指摘をいただきました),「アイルランド勢がトリでよかった」という理由から終始温かい応援をいただきながらの発表で,総じて快適に報告することができた。司会にも19世紀後半のアイルランドをご専門にしていらっしゃる先生を充てていただいたり,最後だったということもあってその先生からもまとめのコメントをいただくことができたりなど,贅沢極まりなかったし。
学会のあとは上述した通り坐・和民で先生方とご一緒させていただいたのだが,発表を褒めていただいたのはいいとして,その根拠が「きりっとした態度だった」「声が低いから聞きとりやすい」「フロアからのコメントに毎回『ありがとうございます』と言っているのに好感が持てる」など,内容とほとんど関係ないこともあって,喜んでいいものかどうなのかという感じだった。と言うとまるで内容にとても触れられないからこんな当たり障りのないことを言われたようだが,自己の名誉のために言っておくと,内容に関しても「ちゃんと面白いことができている」とお褒めいただいたんですよ……ほんとですよ……もちろん褒められたばかりではなくて,きちんと改善すべき点を様々に提示していただくこともできたし。司会をしていただいた先生とは日本酒好きということで意気投合し,「○○さんなかなかいける口やねぇ」とおだてられつつ日本酒をいただいていたら,さすがに酔った。
しかしこういうところでは,否応なしに先ほどの学会の報告について,あれはよかった,あれはイマイチだったという評が始まるので恐ろしい。私も,おそらく同様に各所で開かれた先生方のお食事会において,けちょんけちょんに言われていることであろう。まぁでも,耳に入らないものまで気にしてくよくよしていられませんので,先生方にいただいたコメントをもって今回の全成果ならびに評価といたします。私こういう人間なので,みなさんも,悪口をおっしゃるならどうぞ「陰」口にしてください。私の眼と耳にさえ入らなければ,何を言われても構いません。不注意で,あるいは不注意を装って,ぽろっとこぼすのだけはどうぞご勘弁ください。喧嘩の際によく言われる文句だが「言いたいことがあるならはっきり言ってよ!」というやつ,私はあれがまったく理解できない。言いたいことがおありなら,できるだけオブラートにくるんでくださると幸いです。ただし建設的な批評に関しては大歓迎しますので,はっきりおっしゃっていただけるとこれまた幸いです。まぁでも,私に対して悪口を言おうかとするほど私を憎んでいる人は,普通私がどんな風に感じるかは考えないか。というわけで,もういいや,陰口だろうが悪口だろうが,お好きに言ってください。