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悲しき象牙の塔

つれづれ

この間レヴィ=ストロースが亡くなったというの,私今日にして初めて知ったのに,家庭教師から帰ると今度は市橋達也が逮捕され,森繁久弥が没していた。私ちゃんと生きていたつもりだったんだけどなぁ……もしかして意識がなかったんだろうか。だとするとこの修論は何?
何よりレヴィ=ストロース死去のニュース,日本で報道されたっけ。そう思ってネットで検索してみたが,一部のネット記事とNHKを除き,出てこなかった。私と同じ疑問を持った方は他にもいらっしゃったようで,検索関連語の第3位に「レヴィ=ストロース ニュース」がランクインしていた。
なにやら色々とショックです。ひとつは,文化人類学を志したことすらある身でありながら,巨星が墜ちたことを10日間も知らずに過ごしていたということ。10日間あれば「上手に男をフル」ことすらできるというのに。もうひとつは,このニュースが日本では知識人層にしか共有されていなかったらしいということです。こんな私にさえ,文化人類学ならびに構造主義へのとば口を開いてくれたのがレヴィ=ストロースでした。高校生の私が,初めて大学レベルの教養と邂逅したのは,レヴィ=ストロースがきっかけでした。ひいてはこの大学を目指そうと思ったのも,学者になるのだと思ったのも,レヴィ=ストロースがきっかけであったかもしれません。というのも当時の私は,ものすごく駒場っぽい学問嗜好を持っていたようなので(『エスニシティ社会学』『はじめて読むフーコー』などなど,当時の愛読書がそれを物語っている)。思えば西洋史を志したのも,アナール学派の存在を知ったのがきっかけでした。閑話休題レヴィ=ストロース構造主義も,すごいんだよ本当に……と,私が言うまでもないのだけど,しかし私さえも声を大にして言いたくなってくる関心の薄さ。悲しい。
知の巨人と日本演劇界の重鎮に,心からご冥福をお祈りいたします。もっとも「ご冥福」という概念自体,仏教文化のものだと思うので,レヴィ=ストロースには通用しないかもしれないのだが,しかし先生はこうした極東の小娘が死者を悼むやり方に興味を持ってくださると思うので,仏教文化のやり方で追悼させていただきます。

野生の思考

野生の思考

修論終わったらまた読もう。最近,どんな言葉にも護符のように「修論終わったら」がつくのが悲しい。