読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

少女

読書

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

アイルランド語に行く道すがら,図書館に寄って予約していたこの本を受け取って,電車の中でずっと読んでいたのだが,このタイトルにこの装丁,ラノベにでも間違われないかとひやひやした。ラノベとどこが違うんだと言われれば,そう違いはしないのだけど。
読みやすかったし,まぁそれなりにショッキングで面白くはあったので今回も一気に読んだけど,大したことはなかったな。というか湊かなえ,伏線を張り巡らしてそれを華麗にすべて回収するという持ち味はいいけれど,そのせいで自縄自縛になっている気もするな。最初に『告白』の最初の章を立ち読みした時こそ(確か丸善で),うわぁ,これは乃南アサ小池真理子以来だ……と衝撃を受けてすぐ図書館に予約したのだけど,本屋大賞は重荷すぎただろうか。それに湊かなえ,家庭科の先生だったとのことだが,学校を舞台に陰惨な悲劇を書き続けるというのは,何か嫌なことでもあったんだろうか?
何がイマイチって,そもそもの設定が安っぽい。主人公2人は女子校に通う友人同士で,まぁそれだけで自ずとわかりそうなもんだが,女の戦い……とまではいかないにしろ,表面上では仲良くしつつ内心では互いに意地を張り合っているというもの。そして設定も安っぽければ,出てくる事件も安っぽい。「学校裏サイト」だの,「嘘チカン*1」だの,いじめだの自殺だの,もーなんというか,豚バラともやしを炒める時に使う調味料は,なんと,なんと,塩コショウです!と得意げに言われているような拍子抜け感。工夫がない。ただ,あら,今回はいい話なのか?と思わせつつ……という手法はなかなかのもんだと思ったが。学校裏サイトとか痴漢冤罪事件とか,目新しい社会問題をすぐネタにするというのもちょっといただけない。いじめが社会問題になった頃の,言ってみれば「いじめ文学」の隆盛を思い出してちょっと冷ややかな気分になる。安易に読者が感情移入できる素材を選んで,「社会の暗部を深くえぐる」みたいに満足している感じ。新しいものに目をつけたつもりか知らないけれども,そんなもん10世紀末からありますよ(『落窪物語』),と言ってやりたくなるような。『告白』の時はそういう素材も,夜回り先生ヤンキー先生を足して二で割ったような登場人物が出てきただけだったので,スパイスとして十分な効力を発揮するものだったのだが,今回はもう,節操がないほど使いすぎ。ミーハーすぎる。しかも下敷きにされているのが『スタンド・バイ・ミー』と来た。ははは。
と,内容についてはこんな風に酷評したけれども*2,やはり伏線を回収する手腕(腕力?)はお見事としか言うほかない。私もこれくらい見事に論点を回収する論文を書けるようになりたいものです。しかしこの手法,論文ではいいかもしれないが,小説だと世界が小さく小さくなってしまいますよね。伏線の回収と広大な世界観を両立しえている作品,今のところ『百年の孤独』しか見たことがありません。ん?マコンド崩壊は「伏線の回収」と言えるだろうか……まぁいいか。
ああしかし,本を読んでいるとすべて忘れられて,時間の使い方としてすばらしい。よし,もうこれから本ばっかり読んでやろう。購入したワークチェアが届いたので,この組み立てで1日つぶせる,と嬉々としていたら,10分で済んでしまったので。
それはそうと,写真は熱望していた表参道のイルミネーション。いやぁすばらしかった。You(=illumination) made me feel shiny and new♪イルミネーションなんて今どき珍しいものではありませんが,やるならこれくらい,街一帯がクリスマス一色という感じのイルミネーションにしないと。実はひとりでも見に行くほどイルミネーションが好きな私が自信を持っておすすめするのは,昭和記念公園です。カップルの皆様はぜひ。ただ立川で気の利いたクリスマスは祝えるのか,よくわからないが。あ,でもキハチイタリアンがあるから,もう大挙してここに押しかければよかろう。それに立川にはルミネもマルイも高島屋もあるので,彼女のみなさんは「おねだリスト」発動できるよ(彼氏のみなさんもだが)。

*1:示談金欲しさに気の弱そうな男性をターゲットにして痴漢に仕立てあげるというもの。これ,そんな名前が付いていたのか。

*2:私はものすごく熱中して熟読していながら読み終わったあとに文句を言うので,「どんな面白い本を読んでいるのかと思っていた」と周りから驚かれることが多い。性格悪いですね。