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女たちのジハード

読書

彼氏が途切れないような外見であるわけでもないのに,周りの人(特に家族)がげんなりするような質問を投げてくることがよくあるのは,要するに私が妙齢という年頃だからなのだろうか。どこそこへ来ているとメールしたりすると,すぐに「誰と?」「彼氏と?」と返事が返ってくる*1……のはまだいい方で,酷い時など「○○と?」などと具体的な名前を入れてきたりする。どこをどうすればこのような無神経なことができるんだろうかと思う。私が一人で出歩くのは別に今に始まったことでもないのに,そんなに珍しいんでしょうか。この前はものを受け渡すために総合図書館前で友人と待ち合わせているところを研究室の同期に見られ,「この前見たよー,待ち合わせしてたでしょー☆」(実際,語尾に星かハートは付いていた)と言われたが,実際の文脈はその対極にあるようなものだったので,さしもの私もついに切れ,事情を懇々と説明したのち,あんたね仮にも歴史家を目指そうというのなら,物事を先入観なく見なさいよ(包括的にとらえろ,でもいい),駅前にいる人たちが,みんながみんなロマンティックな文脈で誰かを待っているわけじゃないでしょ,と私よりも格段に優秀なその子に世にも恐ろしい説教をぶってやった。ひひひ。
で,そんな私が今日読んだのは,

女たちのジハード

女たちのジハード

もう12年も前の直木賞。私は昔から特に作品の「対象年齢」は気にせずにものを読んでいて*2,『OUT』も小学生の時に読んだのに,これに関してはなんか,世間の評判は知りつつ「でも私にはまだ早い」という柄にもない殊勝なことを考えて敬遠していた覚えがある。それから読まずにここまで来てしまったのだが,今日ついに借りた時は,もうなんか感無量というか,ああついに私もこの本を読む齢になったのだとしみじみ思った。とはいえOLの話だということしか知らなかったので,またこれも『OUT』系のサスペンスとばかり思っていた。
いやーなんか,今の年齢で読んだのはなんというか,あまりにもぴったりでした。まぁ20代半ばの女を主人公にした小説なんていくらもあるが。「パステルカラーのスーツ」とか「パソコン通信」とか「ねるとんパーティー」とかいう文言に時代を感じるが,描かれている世界は全く,今も昔も変わらないものでした。別に1997年のことでなくても,オースティンの時代から変わらないか,「恋が恋で終わってはいけない」妙齢の女を主人公に描かれることというのは。DINKSやらキャリアウーマン志向の時代が終わって,今度は専業主婦志向の時代が来て,でもそれももう終わろうとしていて,と90年代から今にかけて女性の結婚観は変遷をたどったけれども,周りの女の子とか見ている限りでは,やっぱり「〜25歳前後(結婚)」「〜30歳(出産)」という2つの節目はものすごく重大なものとして刻み込まれているようである。当然今は(私の周りはそうでもないけれども)結婚ラッシュであったり,女同士で集まると彼氏が欲しいだの結婚したいだのという話が出たり,彼氏がいる子はいる子で「私と結婚する気あるのかな」と真剣に悩んでいたりするのである。しかし25歳なんて,もうあと1年ちょっとです,私。四半世紀,早っ。18歳から23歳までこんなに早かったことを考えると,さらに30歳を迎えるのはあっという間なのだろう。みんな生き急ぐねぇ。私自身は世の中のものには一長一短あると思っている人間なので,そう簡単に結婚したいとか恋愛したいとか,別に思わないです。ひとりのうちじゃないと出来ないことも多くあると思うし(例えば,そう,イルミネーションを見に行くとか?)。出会ってタイミングが合えば,結婚も恋愛もすりゃいいだけのことで。恋はするものじゃなく,おちるものだ。『東京タワー』より。ちなみに『東京タワー』の映画は全編そう大したことなかったんですが,岡田君の美しさがですねもう,余談ですが!はい!思い出して取り乱しました!
男女関係なく,20代半ばというのはいろいろ迷う時なのだろう。退社してアメリカ留学したのにも関わらず,語学学校で挫折してヘリパイロットを目指したりとか,会社の慈善事業でいやいや参加させられていたセミナーで知り合った東大卒の医者と結婚してネパールの無医村に付いて行ったりとか,道で拾った脱サラ農業の若い男となし崩し的に関係を持ち,しかも関係というのは体だけにとどまらず,その男が扱っていて大量に売れ残った加工用トマトを材料に事業を興すことになったりとか,作中でいろいろとOLがワケわからんことをするのだが,それもまたリアルで非常に面白い。これとは比べ物にならないにせよ,実際,私の周りの子たちも面白いことしてますし。繁華街でLeave me alone*3のそこのあなたとか,理学部の院中退してロースクールのそこのあなたとか(もっともあなたは,その以前の自分探しの旅の方が面白いけど),ベリーダンスとゴルフとソープアートにハマるそこのあなたとか。おお,こうして書きならべてみると,なぜ私がいつも「目指すものがあってまっすぐだ」と言われるのか,わかった気がする。これは要するに「相対的にそう見える」ということか(しかし面白い人に囲まれたようで,私は果報者です)。
470ページもある本なのだが,仲のいい5人のOL1人1人の物語を短編としてまとめられているのですぐ読めます。昨日メールを送った面々には言ったけれど,ぜひこれで読書会でもやりましょう。そうでなくても,今の私たちこそ読むべき本です。感情移入しっぱなしだと思われる。ちなみにこれ,ドラマ化されたらしいのだけど,そのキャストたるやもう,康子(賀来千香子),リサ(三井ゆり),沙織(千堂あきほ),紀子(栗田麗),みどり(阿知波悟美)という面々で,素晴らしきかな90年代である。しかし康子が賀来千香子というのは,設定よりも美しすぎる気がするのだが。

*1:写真の関ジャニツリーも,ラフォーレで見たので妹に送ってやったら,すぐにこのメールが来た。ひとりですが。

*2:というより,母が図書館などで借りてきた話題作を,私が先に全部読むというのが恒例だったのでそうなったのだが。

*3:追記:これを書き送ってきたメールでは「リーブミーアローン!」とカタカナで書かれていた。