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結婚小説

読書

結婚小説

結婚小説

先日友達と会った時,彼女が想いを寄せている殿方に述べた告白文句を聞き,もう私は悶絶したのですが,今日平井堅僕は君に恋をする」を聞いていて(ああ,マジで疲れている)ほぼ同じ歌詞を見つけ,またしてもちょっと打ち震えました。しかも彼女はそんな繊細な告白文句を述べている割に,「(想いを伝えたところで)失うものはなにもないから」と,かっこいい発言もなさっていました。たじたじとなるあまり,「えっでもほらプライドとかいろいろ」と思いっきり本心を答えた私は,器の小ささを露呈してしまったのでした。プライドって……。
で,今日は書評のために新刊を読んだのだが,この物語の主人公貴世(きよ)もまた,なかなかかっこいい女だった。上記の友人のような繊細さはないものの,特に上品でもないものの,なんか凛としている感じ。ただし40歳を前にして,それなりに結婚を焦っている女性が,いざというときこんなに気丈でいられるのか?とは若干思ったけれども。例えば交際をやんわりと申し込んできた,好意を抱いている「福原さん」に対して言う台詞。

「もう福原さんは,私の中で『尊敬するクリエイター』か『好きな人』のどちらかでしかなくて『お友だち』は,ないです。ですから,このような形でお会いすることはもうできないです」(54頁)

なんて,本当に言えたものか?普通に何年間も恋人がいなかったような女性なら,交際を,しかもまさに好きな人に交際を申し込まれた時なんて,舞い上がって「はははははいもちろんわわわ私なんかでよければ」くらいになるんじゃないか?なんかコミカルにシニカルに描いている割に,ここぞというところで「ドラマチック」というか,小説じみているなぁ,と思わされた。
読んでみて改めて思ったというわけでもないけれども,私は「失うものはなにもない」なんて,かっこいい境地にはしばらくたどりつけそうもない。うまくいかなければ,やっぱり傷つくし(プライドとかいろいろ)。でもまぁ,この人だったら傷ついてもいいや,失ってもいいや,と思えるくらい好きな人に出会えるというのは,むしろ幸せなことなんでしょう。
というわけで,次の書評紙から復帰します。お時間とご興味があればご覧ください。