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アバター

映画


外圧に押されて映画を見に行ったのなんて何年ぶりだろうか。『ポニョ』の波を乗り越えたので,もう次のジブリまでこんなことはあるまいと思っていたのだが,『タイタニック』超え。もはや教養になりつつある。将来留学しても『アバター』見ていないがためにますます孤立するかもしれない,そう思うと居ても立ってもいられず,出張で上京していた父を引っ張るようにして見に行ってきた。
文章を書く時,長々と1文を伸ばし,またその中身も小難しい漢語ばかり使おうとするインチキインテリ気取りの私は,ある日指導教官にこんなことを言われました。「大切なことや重要なことは,とてもシンプルに表せるのだ」と。この映画はまさにそんな感じで,やはりジェームズ・キャメロンは偉大だと痛感させられた次第でした。どうも私は正直に申し上げて,『もののけ姫』より後のジブリアニメにいい印象を持つことができないのだが,なんていうかそれは,「別にわからないならわからなくていいよ」「頭いい奴だけわかってればいいよ」とでも言いたげなスタンスが原因なのではないかと思った。作るならきちんと(しかも大規模に公開するんだから),誰もが理解し(あるいは理解した!と思い),誰もが興味を惹かれる,そんな作品を作るのもまた,いわば作り手の責務ではないかと思うのです。特に映画は,本来大衆娯楽なんだから,変にハイソぶるのは妙な話で。まぁ,これは私の非常に独善的な見解なのだけど。
その意味で『アバター』のメッセージはとても単純明快。人のものを盗ってはいけません,すぐに力に訴えてはいけません,自然を粗末にしてはいけません,敵を赦しましょう,などなど。こういう当たり前のことこそ,どう考えても一番大切なことである。そして一番忘れがちなことである。当たり前のことを当たり前に伝えることがいかに難しいかは,他の様々な作品(それも,ちょっと格好つけて小難しくしようとしている感じの作品)が証明している。ストーリー展開もとてもシンプル。ネイティリがジェイクに,伝説の曾祖父「トルーク・マクト」の話をした時点でピンと来る*1。あと,敗軍を殺すことなく送還するだけ,というのもいいですね。これから私たちはどうあらねばならないかという,キャメロンのメッセージがとても強く現れていますね。悪役の大佐なんてもう,「←悪」という矢印つきの文字まで見えるような気がするほど典型的な悪役面。頭にEXILEみたいな傷跡が走っているし。悪いものは最後まで悪いし,良いものは最後まで良いのである。
しかしここまでシンプル・イズ・ベストと力説している私であるが,当然見かけ倒しだったらどうしようという懸念はあった。しかしその予想は見事に裏切られました。ハリウッド話題作なんてと斜に構えている人も,ぜひ見にいらっしゃる方がよろしいかと思います。ハリウッドの底力を見ることができるはずです。

*1:しかし怪鳥トルークに乗った者が有史以来5人しかおらず,むしろだからこそトルーク・マクトが伝説化するのだが,その割にトルークに乗るのはとんでもなく簡単そうであった。いいの?