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高みを目指せ

ピアノ


もうなんか,いつから始めたか定かでないほど長々とやっていた平均律7番,ようやく終わった。本来ならば先週終わっていたはずが,「曲の意味を理解できていない」「高みを目指そうとする熱い気持ちが感じられないのよ」「16分音符のひとつひとつの意味まで考えなさい」との難題とともに,プレリュードだけ保留になってしまったのであった。ちなみに先生のおっしゃる「高み」とはレベル的な問題ではなくて,要はバッハの音楽における,一言で言うなれば神に近付かんとする思いのことである。ゴシック建築において,ものすごい尖塔を建てて高く高く天を目指したあの思いである。しかし先生そんなこと言われましても!と言いたいのはやまやまであるが,ことバッハにおいて「だってキリスト教徒じゃないもん」を言っちゃあおしまいなので,ここ一週間,自宅で悶々と懊悩しながら練習していたのである。それで,ようやく曲を理解したと言うとおこがましいが,少なくとも「何か」,言い表せないがとにかくつかめた気がしたのが昨日か一昨日かであった。先生の前で弾いてみると若干固かったが,それでも今まで平均律を弾いてきた中では一番よかったんじゃないかと自分では思う。
それにしても,弾き終わって先生の方を向くと,先生が「続けて,続けて」とおっしゃる。「え」「フーガも続けて」「……え,あの,先生フーガは先週仕上げたということになっていたような」「あらそうだったかしら」「……なので,ええと,一週間弾いてないんです」「そうだったわねぇ,残念ねぇ,なんかフーガも続けて聞きたいような感じだったのに」それはとてもうれしいのだが同時に悔しいというか,だったらフーガも弾きたかったです。今後,フーガかプレリュードか,どちらかが先に仕上がってどちらかが保留になるようなことがあったとしても,もう片方が仕上がるまでは弾けるようにしておこうと心に誓った。

次の課題は17番で,遅ればせながらいよいよ4声です。4声って何?連弾?そもそも人間の手は2本しかないのに,なぜ4声なんて考えつきますかね。と,これも「それを言っちゃあおしまいよ」的な呪詛を呟きながら,目下譜読みに励んでおります。