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植物図鑑&炎上する君

読書

植物図鑑

植物図鑑

この人の代表作である『図書館戦争』を知らないので何とも言えないところだが,本作についてはなんかネット上の同人サイトに載せられている二次創作みたいな印象だった。ストーリーはまあまあ正統派のラブストーリーなのだが。
話題作なのでどんなもんかと楽しみにしていたが,まぁ文芸作品だった。
炎上する君

炎上する君

こちらはとてもよかった。なかなか設定が突拍子もなかったりするので,入り込むまでに時間がかかったりするが。特に表題作「炎上する君」と「トロフィーワイフ」,さらに「ある風船の落下」がとても気に入った。
「トロフィーワイフ」は次回の書評紙で詳しく書くつもりなのだが,年の離れた夫の「トロフィーワイフ」として人生を送ってきたひさ江の話。夫もいつも自分のことを可愛い,綺麗だ,と言ってくれたし,おいしいものを食べてのんびり過ごし,今では孫にも恵まれているという人生を悔いてはいないが,もし生まれ変わったら,「安月給!とか,働きなさいよ!とか」夫に悪態をつき,「旦那さんにも,うるせぇ!とか,言われる」人生を送ってみたいと考えている。そんなひさ江に対して孫の枝里子は,野良猫は苦労をしているから憎々しげな顔つきになってしまうが,家猫は可愛がられているからいつまでも可愛いのだ,女も猫と一緒で,家猫のように愛されるのが一番幸せなのだ,と言う。しかしひさ江は「私は外に出て,鼠や蟋蟀を捕まえたい」と言う。2人の考えは噛み合わない。そして最後にひさ江がぽつりという一言が,この話に深い余韻を与えている。「私は昔,それはそれは,綺麗だったのよ」。