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「着心地の悪い服」「住み心地の悪い家」

勉強

わざわざこの日は空けてもらって予定を組んだくせに,いきなり2日ほど前から,でも文学研究会ってなかなか顔出してないしなぁ,行ってもどうせ発言なんかできそうもないしなぁ,などと「行かない理由」を考え始めたのだが,いやいやわざわざ空けてもらったわけだし,それにどんな本を読むより耳学問は手っ取り早い学問の手段だし,と気持ちを奮い立たせて文学研究会に行くことにした。
そして心から行ってよかった。かなり勉強になりました。McGuckianという北アイルランドの女性詩人が取り上げられていたのだが,彼女の詩には「着心地の悪い服」や「居心地の悪い家」といったような,とにかく「どうも落ち着かない」という表現がよく現れていて,それが「北アイルランドで」「女性として」「英語で」*1ものを書く,という三重の「居心地の悪さ」と通底している,ということ。さらに「自分のものではない服を身につけてみる」というような表現にはトランスヴェスタイズ的な隠喩もあって,またそれが翻訳(translation)などともつながっている,ということで,なんとも心地よい脳内トリップ感を味わうことができた。若手の研究者の発表は結構,広い間口から「狭く」「深く」掘り下げる,というものが多くて,それはもちろん真摯な研究成果としてなのだが,ベテランの先生方のご発表は逆に「あるワンポイントから」「広く広く」広げるものが多くて,やっぱり聞いていて感動するほど視野が開ける。夜はついに文学研究会の飲み会に参加させていただいた(これまでは研究会が終わったら失礼していた)。

The Poetry of Medbh McGuckian: The Interior of Words

The Poetry of Medbh McGuckian: The Interior of Words

ただしこの詩人さん,「悪い意味でobscure」と悪名高くもあるらしい。挑戦してみようかしら。

*1:ただしこれについては,いわゆるステレオタイプ的な言説をストラテジーとして用いているだけではないか,言語への違和感などもマラルメらが用いていたりもするので,女性に限ったことではないのではないか,という指摘が出ていた。なるほど。