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よくありがちな事故

学校

高山宏先生の授業ではいつも通り参考文献がいろいろと紹介されていたのだが,その中にグスタフ・ルネ=ホッケの『迷宮としての世界』が入った。黒板に書かれた書名には印がつけられ,先生ご自身もかなり熱を持って語ってらっしゃったので,読んでレポートに役立てようと思って授業後すぐに総合図書館に向かった。すると私とまったく同じ方向に歩いていく女の子がいるのである。同じも同じ,4階の美術史の棚の前で立ち止まるところまで同じであった。棚の前に並んで立ち,物色していたのだが,私は『迷宮としての世界』を見つけ,手に取っ……た時の彼女の形相たるや,「はっとする」という表情を絵に描いたとしたらこんな風だろうと思われるようであった。つまり私と彼女はまったく同じことを考え,授業が終わるとすぐに総合図書館へ駆け込んだのだが,本を見つけて手に取ったのは私が一瞬速かったということである。恐ろしくて彼女の顔を見ることなどできなかったが,かといって本を彼女に渡すほど私は人間が出来ていない。諦めきれない様子の彼女はその後OPAC端末で何やら調べていた(おそらくは他キャンパスや研究室の所蔵など?)のだが,恐ろしさのあまり私は彼女の目を盗むように本棚の間をくねくねとすり抜け,必死でエレベーターで1階に降り(ホラー映画のように途中で乗り込んでこられたらどうしようかと思った),貸し出し手続きを済ませた本を持って図書館を駆け出したのであった。ああ,怖かった。
しかしこれは,残念ながらレポート課題の多く出る夏休み前ならよくよくある事故である。しかも厄介なことには,長期貸し出し制度があるために,借りることができた人間は天国でも,借り損ねた人間はもはや図書館の利用を諦めざるを得ないという事情もある。夏休み前の図書管理用は,何より初動が肝心です。しかし今回の私と彼女のように,全く同じスタートラインに立ちつつも数秒の差で私が勝つ,などということもあってしまう。スポーツ図書(?)の世界は過酷である。おそらく勝敗を分かったのは,棚の前で探した時間の差である。なるべく短時間で探すコツは,最初から最後まで所蔵番号だけを考えることであろう。みなさん,OPACで探す時は所蔵番号を見る(たとえば『迷宮としての〜』だったら702.05:H81)のだが,どうもその「702」だけを覚えて該当する棚のところに行き,後は『迷宮としての世界』を探しているのではあるまいか。そうではなくて,702の棚に着いたら後は「.05:H81」を探す,という風にした方がおそらくは速いんじゃなかろうか,と思います……タイトルはあくまで確認程度に見ることにして。それだけのことだが,どうも本棚の前で立ち止まっている時間が長い人が多いのは(ブラウジングは別として),その差なんじゃないかと思う。よろしければ,みなさまどうぞお試しください。