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スターゲイザー

余暇

ipod touchで愛読している日経WOMAN ONLINEの特集で,三鷹の国立天文台の観望会が紹介されていた。おそれながら国立天文台の本部が三鷹にあったことすら知らなかったような気がするのだが,なにはともあれ幼少期最大の楽しみが[http://www.oao.nao.ac.jp/:title=岡山天体物理観測所]への家族旅行だった人間としては,これは放ってはおけない。しかも無料だなんていいんですか。というわけで急遽行くことに決め,稀に見る集中力でノルマをこなして,電車とバスを乗り継いで三鷹へ。観望会は,まず受付で整理番号のついた番号札をもらい,その番号順に講義室で解説を受けて望遠鏡へ,という流れ。今日は結構混んでいて(女性が多かったのは日経WOMAN効果か!?),私は1時間半後の解説だった。なのでそれまで,ロビーに展示されている院生のポスターなどを見て暇をつぶす。会場には天文を専門とする院生や研究者の先生が何人もいらっしゃるのだが,私が興味深くポスターを見ていると,さっそく院生の方が来て色々と解説してくださった。ご自分の専門はどれかひとつ特化しているもののはずなのに,ロビーにずらり並んだポスターをどれも解説してくださったので驚いた。せっかくなのでいろいろ質問してみた。まったくの門外漢とは言え私も研究者のはしくれのさらにはしくれであるから,「素人にどんな質問をされるとうれしいか」くらいは何となくわかる。というわけで,されてうれしい質問のひとつ「研究の手法」を聞いてみた。喜んで詳しく解説してくださった。わーい。
展示されているポスターの内容ににわかに精通したあたりで,講義室に通されて解説を受ける。今日の観測天体は木星。解説も学生が行っているのだが,一般にもわかるようにすごく工夫していてこれまた驚いた。「地球が野球ボールだとしたら木星はバランスボールくらいの大きさ」とか,木星1つの質量で,天王星+海王星+地球+土星(もっとあったっけ)の質量を軽々と凌駕するとか,とにかく身近なものに例えてわかりやすく説明されていた。
解説が終わったらいよいよ展望台へ。周りのみなさん,星がよく見えると喜んでいらしたが,田舎者の私はむしろ,見えてこれなのかと少々残念に思った。岡山で同じ条件だったら満天の星空だっただろう。星空観測はわかるようなわからないような感じだったが,いざ望遠鏡をのぞいてみると木星はものすごく綺麗に見えて,縞模様やらガリレオ衛星まではっきり見えて,感動的であった。しかし常人が同じものを見て,例えば地動説の裏付けだと思えますかね。あそこになんか星っぽいのがある,ふーん,なんだろうねあれ,で終わるんじゃなかろうか。院生さんのひとりが「天文学をやっていると言うと,すごく頭がいいんでしょうなんて最初から言われるんですけど,そんな先入観を持たれてもって感じですよ」と笑いながら話してくださったが,やっぱり宇宙を相手にするなんて,頭がいい人にしかできない気がする。いや,手に触れ得ない,眼に見え得ないものを扱うというのは,本来頭がいい人にしかできないはずなのですよ。歴史だってそうじゃないですか。私もがんばろう。
と,天文へのアマチュア的関心が満たされた上,学問のモチベーションがアップし,さらには改めてアウトリーチの重要性に気づかされた会であった。こういう場があるというのはとても幸せなことである気がする。私も結構やっている方ではあると思うが,それだって進路イベント(高校生とか,駒場生とか)でちょこっと研究紹介をする,くらいである。世間一般にひろく学問を浸透させることも研究者の大切な職務である,という高尚な理由の他にも,まったくの門外漢な人たちが短時間でわかるように解説するというのはなかなか至難の業であり,もちろん今後の研究にも資するところが大きいはずである。なにか私たちもできないもんでしょうか。無理かしら。「楽しい西洋史講座」みたいな。
無料で月2回行われているこの観望会,かなりおすすめです。みなさまもぜひ。