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図書館からのメリークリスマス

余暇

クリスマス寒波と言うそうで,岡山では寒風吹き荒れるクリスマスイブです。こちらにはイルミネーションも何もありませんが,外に出て空を見上げてみれば東京とは比べものにならない星が出ていて,それはそれで美しい聖夜です。見よ,あれはベツレヘムの星。しかしこんな寒い中,わざわざ訪ねて行くなんて。私が東方の三博士の1人だったら,すみませんが,黄金だか乳香だか没薬だかはメール便にてお贈り(お送り)させていただきます。
ところで今日,以前にも言及した図書館からのメールマガジンが届いていた。年内のメルマガは今日でおしまいだとのこと。その年内最後のメールの「知って使ってシリーズ」にて紹介されていたのは,以下のようなデータベースであった。

★[知って使ってシリーズ] CiNiiよりも古い年代をカバーする「雑誌記事索引集成データベース」 ★
日頃は「CiNii」を講習会で扱うことが多いですが,日本語の雑誌記事データベースはCiNiiだけではありません。
たとえば「明治期に夏目漱石が書いた記事を調べたい」そんなとき役立つのが、「雑誌記事索引集成データベース」(皓星社提供)です。
雑誌記事索引集成データベースは,『明治・大正・昭和前期 雑誌記事索引集成』(120巻)をもとに作成され,日本(旧植民地なども対象)で発行された日本語の雑誌記事が検索できます。
国立国会図書館の「雑誌記事索引」(昭和23年以降収録)のデータも搭載されており,明治から現在までの雑誌記事を検索できます。
地方誌の記事も検索可能です。

また,検索画面で「CiNii連携を利用する」にチェックを入れるとCiNiiのデータも検索でき,検索結果からCiNiiの画面に飛ぶことができます。
重複するデータ(国立国会図書館雑誌記事索引)を、検索対象からはずして検索するので検索結果が重複しません。

学内からのアクセスと学外からのアクセス,2通りに対応するURLが掲載されていた。なにこれ!面白そう,と思って試しにアクセスし,キーワード「アイルランド」で検索してみた。

論題 <海外事情>今度愛蘭借地同盟党の領袖パー子ルガ……
掲載誌 六合雑誌
巻 号 16
刊行年月日 明治14年12月27日
掲載頁 135

わー!いきなりパーネル出た!
なぜパーネルの「ネ」が「子(ね)」になっているのかはわからないが,それにしたって「愛蘭借地同盟党」とは考えた訳。そしてその「領袖」って,ちょっとなんかガキ大将っぽいが。パーネルはとても裕福なアングロアイリッシュです。

論題 <海外事情>愛倫事務長官を暗殺せし者……
掲載誌 六合雑誌
巻 号 24
刊行年月日 明治15年5月31日
掲載頁 388

同じく『六合雑誌』の記事。明治15年といえば1882年,この年に起こった暗殺事件といえば,そう,フェニックス・パーク事件ですよね!キャヴェンディッシュ卿がインヴィンシブルズに暗殺されたやつ!しかし,そっか,キャヴェンディッシュはアイルランド「総督(Lord Lieutenant)」と訳すのが普通なのだが,この時代は「事務長官」だったのね。
こんな具合に,例えば「アイルランド」と引いてみると,オンタイムでアイルランド事情がどんな風に日本で報道されていたかがわかって非常に興味深い。とはいえ自分の研究にどんな風に生かせるかとかはまだ全然考えていなくて(考えられたら楽しいだろうけど),ただ単に知的好奇心というやつだが。ちなみにこのアイルランド事情を何度も繰り返し報道してくれている『六合雑誌』,無知にして今まで存じませんでしたので調べてみると,なんでも1880年創刊のキリスト教系雑誌であるとのこと。徳冨蘇峰が寄稿しているかと思えば内村鑑三も寄稿しているといった具合で,なかなか多方向からの論調を柔軟に取り上げていた雑誌だった模様である。ついでにこれは全くの偶然であろうが,創刊が1880年で廃刊が1921年。奇しくもアイルランドで政治的に大きな動きがあった時期とちょうど重なった刊行期間である。この他,『外交時報』『國家及國家學』はたまた『アララギ』などがアイルランドを盛んに取り上げてくれているよう。おお,山川均が『解放』に「シンフエンの独立運動と愛蘭の無産階級」なんて論文を載せていたりする。こういう取り上げられ方もされていたのね。それに「妖精礼拝の土民 愛蘭文学の一特色の考察」なんてすごく魅力的な論文を『近代風景』に載せているのは,あの尾島庄太郎先生!!
と,こんな風にマニアックな楽しみ方をすることのできるデータベース,みなさまもぜひどうぞ。例えば私は人文系で,しかも歴史なんてやっているから直接的な楽しみ方もできるというものですが,自分が関わっているもののキーワードを入れて検索してみるだけでも結構楽しめてしまうと思うのよね。東大の方限定ですが,URLをこちらに載せておきます。学内アクセスがこちら,学外アクセスはGatewayからどうぞ。こんな遊びに耽溺しながら更けてゆく聖夜である。