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いつの世も変わらぬは恋心

余暇

14時に舞ちゃんと表参道で待ち合わせて,まずはいつもの日本画家・中井智子さんの個展へ。表参道ヒルズのギャラリー・エイティで明日まで開催中です。みなさまぜひ。
今回もいろいろいい作品があったのだが,中でも今回いただいたDMに載っていた「アイライン」という作品がよかった。なんでもこのポージングはモデルさんの提案によるものだそう。女性の感性だなぁと思った。絵の中の女性は着物を着ていて,もうほとんど準備が整ったくらいの状態で鏡に向かってアイラインを引いているのだけど,もしかしてこれから好きな人に会うのかな,だから入念に最後の仕上げをしているのかな,などと想像が膨らみます。お化粧に没頭している表情が色っぽいようでいて,少し紅潮しているようなところも。いやー,アイラインを引く時って,普通はあんなに綺麗じゃないですよ。少なくとも私はそうです(むしろアイラインを引く工程って,メイク中で一番人に見せたくない部分じゃなかろうか)。
ところで私がひそかに抱いている夢で,いつか結婚したら新居に飾る絵を中井さんに描いていただくのだ!というものがあるのだが,ついに今日,中井さんにその夢を開陳した。あまりにも熱を込めて言ったので,「近々そういうご予定がおありなんですか?」と聞かれてしまった。えーと,全くの妄想です。でも八重垣神社のご神託によれば即座に良縁があって結婚するとのことだから……。しかしそんないつになるかわからない話は別として,よかったら(舞ちゃんと私の)2人で今度モデルになってくださいと言われた!実はこちらもひそかな夢だったのである。社交辞令というか口約束だろうけど,うれしいなぁ。おそらく8割増しくらい綺麗に描いていただけるだろう。
そのあとはちょっとお茶して,ずいぶん前から楽しみにしていた劇団四季『美女と野獣』へ。

最初はやっぱり日本語詞は違和感あるかもと思ったが,すぐに気にならなくなった。それどころかあっという間に引きこまれてしまった。有名なナンバーはもちろん,ディテールもすばらしかったです。例えばモリースやベルを森の中で襲う狼たちも役者さんが演じているのだが,『キャッツ』仕込みか?と思うような動き。あと魔法にかけられた野獣の城の中で,マットに変えられた人というのがいるのだが,衣装がもうマットそのものだからムササビみたいな状態になっているのに,キャストの中で最もアクロバティックな動きをするのです。もう感動してしまって。マットすごい!マットすごい!と言い続けていた。それからやっぱり舞台装置や演出にびっくり。王子が野獣に変えられるところや「Be our guest」,最後に野獣が王子に変えられるところなど,それだけ見ても感動するだろうと思われた。野獣と王子のキャストは同一人物,なんですよね?いまだに信じがたい。アニメでは野獣が空に舞ってくるくる回転しながら王子の姿に戻るのだが,全くそのまま舞台で再現されているのである。
言わずもがな,ストーリーは何度見ても感動的。女性(都会の女性はなおさら)が見て感激するポイントが多々ありました。例えば

野獣がベルに図書館をプレゼントするシーン。

これはもう,アニメを見てもいつも感激するところである。私が読書好きというだけではなく。相手のことを考えて,相手が一番欲しいものをプレゼントする。なかなかできないことです。「俺と結婚して俺によく似た子供を産み,俺に寄り添って俺の世話をするのが女として一番幸せなはず」と,自分が勝手に考えた(家父長的な)幸せの理想像を押しつけるガストンとは対照的である。

ベルが図書館で『アーサー王物語』を見つけた時,「字が読めない」と正直に告白するところ。

これは舞ちゃんのご意見(私も同意)。世の殿方の多くが,特に狙った女性に対しては,自分をありのままより大きく見せようと虚勢を張り過ぎですわ(ガストンのように)。プライドを傷つけられたらすぐに逆上するし(ガストンのように)。それに比べて野獣さんは,字が読めないなんてすごく恥ずかしいであろうことを,しかも一番知られたくないであろう人に,素直に打ち明ける。もうもう素晴らしいです。
しかしわれわれ女性としても反省しなければならないというか身につまされるところがあって,それは字が読めないことを野獣に打ち明けられたベルが,優しく「この本(『アーサー王』)は朗読にもとてもいいのよ」と読み聞かせ始めるところ。どんなに好きな人でも,読み書きができないと言われたら,その瞬間に評価がガタ落ちするだろう。世の男性が虚勢を張る理由も,たぶんここにあるのです。男性から弱みを見せられた時,優しくそれを受け止められる度量の大きさを身につけなければなりませんね。もっとも現実世界でそれをやっていると,マザコン男が寄ってきそうな嫌いはあるが。

野獣がベルを父親のもとに帰すシーン。

図書館をプレゼントするシーンにもつながるが,愛する人が望むことなら,例えそれが別離につながるものであっても叶えてあげる野獣の優しさ。しかもそれは別離だけでなく,呪いが一生解けないことも意味するのに!「わかった,じゃあ帰っていいから,とりあえず愛してるとだけ言ってくれない?」とか言ってしまいそうである。願わくは野獣さんのような,心の広さを持った人と巡り合いたいものですね。父親の危篤でなくても,女性の人生においては必ずしも,仕事上の栄達がプライベートの好調さと比例しない(反比例することの方が多い)。なかなか会えなかったり,もしくは少しの間離れることになっても,それが君のためになるのならと理解し応援してくれる男性,ほとんどの女性の夢であるはず。

他にもいろいろあるが,まぁとにかく,メルヘンとしてでなくても夢が膨らむものです。ついでに,ベルは意外にも積極的であった(アニメでもそうだったっけ)。自分から野獣を夕食に誘っていたし,ラストでも「2人で生きて行くことが望みよ」とプロポーズめいたことまで口にしていた。これは婚活時代のファンタジーか。女性たちよ,狩りに出よ。こうした点でも現代的意味を持ちうるものです(?)。
しかし敢えて言うなら,幼少時からの疑問がひとつ。「恐ろしい外見にとらわれず」野獣を愛するようになったベルとは言え,外見で好きな要素がひとつもないまま愛するなんてことは,いくらなんでもないでしょう。頼りがいのありそうな牙がたまらんとか,意外にふわふわな毛質がぬいぐるみみたいで好きとか,獣っぽい体臭がワイルドでくらくらするとか,あるでしょう。なのに告白した瞬間に甘いマスクに戻るって,いいのか?それで。若干がっかりしてない?大丈夫?だって例えば,(醜い野獣というわけでは断じてないが)EXILEっぽい人が好きで告白したらいきなりジャニーズ系の顔に変わった,っていうようなもんでしょう。いくら心清いベルとは言え,外見の好みくらいはあるはずだ。うーむ。
まぁそんなくだらない疑問は置いておいても,やっぱり素敵。素敵すぎて,ベルの衣装でディズニーウェディングしたくなりました。ところで「オリジナルドレス」のところ,新郎の衣装は載ってないけど,もちろん新婦がベルを着るということは,新郎は野獣の衣装を着てくださるんですよね?で,宴もたけなわの頃,野獣から王子様に?