読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

楽興責め

ピアノ


最近これ,ブラームスの間奏曲ハ長調Op.118の2番が大好きで,よく在宅時のBGMになっている。ブラームスはしつこいところもあるし,ピアノの会でもかなり好き嫌いがはっきり分かれていたと思うのだが,私はそんなところも含めてブラームスが大好きです。といっても,好きなのは主にピアノ小品なのだが。特にこのOp.118 No.2は,なんというか,叶わぬ恋を何十年も続けると人はこんなに美しい曲が書ける境地にいたるのねと思わされます。イェイツといいブラームスといい,叶わぬ恋を芸の肥やしへと,しかも自分ではそのつもりのないまま,昇華できる人は素敵です。自分の相手としては,御免蒙りたいけど。

楽興の4番,ご近所から最近毎晩聴こえてくる。ものすごく有名な曲なのにしばらくどうしても曲名が思い出せなくて,聴こえてくるたびに何だっけ何だっけ何だっけ何だっけ何だっけ……!と気も狂わんばかりになっていた。さっき天啓のように閃いた。あああーっすっきりしたぁーっ。
確かにこれ,めっちゃかっこいい曲です。ピアノの腕に覚えのある男性はぜひ意中の女性の前で弾いてご覧なさい(必ず「さらっと」弾いてね),おそらく8割方,落ちます。意中でない女性も落ちるかもしれないから,注意が必要だけど。私も演奏会でたまに上手な演奏を聴くと,胸が高鳴ります。エストロゲンが分泌されそうになります。しかし今の私は,上述した通り,ブラームスの間奏曲な気分なのです。人生の子守唄なんて言われている曲ですよ,これ。しかも私事で大変恐縮だが,最近バッハの平均律が1曲仕上がって,また新しい課題を譜読みしているところなんです(今度は1番)。それなのにいきなり,轟くようなラフマニノフ。カフェで読書していたらいきなりレイブパーティーが始まったようなもんじゃないですか。ラフマニノフ,心の準備ができていない時にいきなり聴かされると,ものすごく心をかき乱されるのですよ。まぁそれがラフマニノフの良さでもあるのだけど。おかげで譜読みはちっとも進みゃしません。

ラフマニノフでかき乱されたといえば,5年前の演奏会でも私の前の奏者の方が弾くこの前奏曲5番ト単調(Op.23-5)にやられてしまい,いよいよ自分の出番でステージに出てお辞儀をするその間ずっと,頭の中でタンタタタッ,と流れていた苦い思い出がある。そういえばあの時私が弾いたのもブラームスだった(ラプソディ1番)……!もうこのトラウマは,1回自分でラフマニノフを何か弾かなければ解消されなさそうです。