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チェンジリング

映画

チェンジリング [DVD]

チェンジリング [DVD]

実話に基づいているとはいえ,この内容で2時間半の長さはちょっと冗長な気がする。と,ひとこと文句を言った上で,感想。
問題を隠蔽するロス市警もさることながら,そもそもその1920年代当時のロス市警は組織として自分たちに刃向かう存在を一掃していたりした,というのが大変恐ろしい。ジョン・マルコヴィッチ演じるところの長老派教会牧師は,なぜ当局によって消されないのだろうと冷や冷やしていた。確かジョディ・フォスター主演の『フライトプラン』もそうだったし,リーアム・ニーソン主演でそろそろ公開される?された?映画(『身元不明』とかいう邦題がついていたような)もそうだと思うのだが,どうもアメリカの人は,「ある日突然自分ないし大切な人の存在が,組織ぐるみの巨大な陰謀によって『なかった』ことになっている」ということに非常に危機感を抱いてらっしゃるようですね。あるいはそれに準ずる設定で,「かけがえのない一個人」が「組織」や「社会」を動かす歯車のひとつでしかなくなっている,特に「自分がまかり知らぬところでそうなっている」ということに対する恐怖を感じ取ることが多いような(例:『マトリックス』シリーズ)。無論こうしたことは印象に過ぎないのだけど,アイデンティティ論を扱っている人間として非常に興味深いです。
あと,起こる事件が怖すぎる。実家では犯罪ものの海外ドラマ(『CSI』とか『クリミナルマインド』とか)が愛好されていることもあって,私も便乗してたまに見たりするのだが,もう,アメリカではこんな類の猟奇殺人とかしか起こっていないのか?と思ってしまいます。特に幼い頃から抽象的な恐怖の象徴としてよく言及されてきた「人さらい」(例:「遅くまで遊ぶと人さらいに連れて行かれるよ」)という存在,この映画の中で出てくるのだが,はじめてその恐怖が具体化した気がする。アメリカの「人さらい」は怖すぎます。しかもその手口は,遊んでいる子どもに「君のお父さんとお母さんが事故にあったから病院に行こう,車に乗って」と声をかけるというもので,非常に古典的であり,ますます幼児期からの「人さらい」の恐怖を増幅させる効果を持った。決して知らない人の車に乗ってはいけませんね。ちなみに私は高校の時,友人から岡山市某所のTSUTAYAに「人さらい」が出るという話を大真面目に聞いたことがある。本当なんでしょうか,あれ。