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You made me feel shiny and new

つれづれ

マドンナ 永遠の偶像(アイコン)

マドンナ 永遠の偶像(アイコン)

電車に乗っていたら,2つ隣に座っていた若い男性が膝から何かを落とした。あわてて拾っているものにふと目をやると,マドンナの伝記であった。男の子なのにマドンナの伝記って珍しいなと思った。男性の顔はよく見えなかったが,セルフレームの眼鏡をお召しで服装も割とおしゃれな感じ(ゲイっぽくはなかった),デザイン系か音楽系の学生さんなのかしらと予測をつけていた。乗り換えで降りる時,どんな方なのかしら,と思ってその男性を見た。彼はプラスチック製の半透明ブリーフケースを膝に置いていた。そのブリーフケースの中にあったのは刑法の教科書(?)であった。
刑法!!
こんなことを言うととっても不適切なことは承知の上なんですけど,私,法学部生という集団に対して,とてもステレオタイプな偏見を持っていたのです。とにかく,要は法学部生が,しかもプラスチックのブリーフケースで『刑法』を持ち歩くタイプの法学部生が(言いたいことをわかっていただけると幸いです,これ以上うまく言えない),マドンナの伝記なんかを読むなんて思わなかったのです。しかし電車の彼は読んでいた。割と目からウロコ的体験でした。大袈裟に言っているのではなくて,私にとっては本当に。そして同時に,大変素敵だと思いました。男性に惹かれるポイントが「知性」であるという点で共通している友人と,「専門書を読むイケメン」の素晴らしさについて語らったことがあるのだが,いや,それでは甘かった。専門書はある程度義務で読むものだが,趣味の読書は違う。言うなればこれこそが真の「知性」ではないか。心の余裕と人間としての「引き出し」まで兼ね備えた形での。
さらに言えば―ここからはさらに勝手な持論なのだが―マドンナの伝記という,このライトな感じ。完全に趣味で読んでますというこの感じ。これが古典名作だったりしたら,また判別が難しくなるのである(義務で読んでいる可能性も捨てきれなくなってくるため)。いやー,実にいいです。膝には刑法,読んでいるのはマドンナ伝。簡単に見えて,このバランスは実に難しい。読んでいるものだけで人に惹かれたのはとても久しぶりな気がする。まさにLike a virgin touched for the very first time。時間にして数秒足らずだったけれど,とても素敵な驚きでした。なんだか幸せな気分になりました。