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もし大学院の女子学生がTAに任命されたら

学校

今年もTAをやることになった。主なお仕事である卒論指導サブゼミ,初回の今日は卒論導入編ということで,とりあえず心構えだとか文献検索方法とか,基本的なことをレクチャー。
私は「文献検索方法」の説明係だったのだが,主にお伝えしたことは以下の通り。もしかしてここを見てくれている4年生の方がいたりしたら使えるかもしれないので,ざっとまとめてみました。

  • 文献検索の前に,まずは概説書,研究入門,項目事典をしっかり読もう

イギリス史〈3〉近現代 (世界歴史大系)

    • 文献目録を作れと言われると,自分の関心のあるテーマとキーワードでいきなり検索をかけ,ものすごくspecificな論文をリストアップしたものを意気揚々と準備してくる人は多い(私だったら「Ireland Parnell nationalism」で検索する,など)。しかしそのテーマが大きな時代状況の中にどのように位置づけられるのか,なぜ重要なのか,説明できる人はほとんどいない。だいたい,最初からいきなり論文を読んでも,わかるものもわからない。テーマは'Because I'm lovin' it!'で選ぶものではないよ(潜在的にはそうだとしても)。
    • 基本的なことですが,まずはその時代のその国がどのような状況だったのか,また国際関係はどのような感じだったのか,年表などもチェックして頭に入れておきましょう。
    • では概説書とは何か。山川出版社の『世界歴史大系』シリーズなどがそれにあたります。最初に読みましょう。
    • 概説書,研究入門,項目事典の巻末や項目の末尾には,だいたい文献リスト(further readings)がついている。ここに挙がっているような本は優先順位を最も高くすべき部類のもの。また,データベースの情報を得られることも多い。
  • 本を借りたい場合,東大図書館OPACで文献が見当たらなかったときはWebcatで他大学の所蔵を調べる→直接訪ねるor取り寄せるのが「基本」。ですが……取り寄せは結構費用がかかるし,貸し出し期間も短いのであまりおすすめはできない。かといって直接訪ねても閲覧しかできない上,慣れない図書館は大変使いにくい。まずは東大でできることを探しましょう。
  • 本を購入したい場合,西洋史の場合は特に,amazonよりもabebooksが断然おすすめamazonだと注文しても届かないこともある。abebooksは割と早く届くし,どんな本でも結構見つかるし,何より,安い。私は最近,abebooksを道楽で利用しています(最近買ったのは専門書ではなくNever let me goOn chesil beach。楽しい洋書ライフ)。
  • 概して,本はすぐには入手できない。夏休みに本を読むことを考え,なるべく早めに文献収集を始めましょう
    • 図書館状況は,昨今の東大の図書館が耐震工事を始めたのを見ても明らかなように,コロコロ変わります。いつまでもあると思うな親と金,そして本。早め早めの行動が何より大切です。
  • 本を注文した時,1週間経っても注文時から状況があまり変わらないようであれば,プランBやプランCを早めに準備しましょう
    • 注文したことに安心していつまで経っても来ないものをバカ正直に待っていたら,文献が届くのは必ず間に合わなくなる。
    • 専門の先生と仲良くなれば,その先生から直接貸してもらえる可能性も高い。なんだかんだ言って,最後は人のつながりです。
  • Internet ArchivesやGoogle Booksはあなたの思っている以上に使えます
  • データベースは必要に迫られた時に初めて使うのではなくて,暇な時にいろいろ「試しに検索」してみましょう。
    • 東大図書館で無料配布している『ネットでアカデミック』は割と参考になるので,データベース初心者におすすめ。
    • 当たり前だけどデータベースは存在を知らないと使えない。トライアル状況も含めて,東大でどんなデータベースが利用できるか,図書館のHPをブラウズするなどして,早めにチェックしておきましょう。また図書館の情報基盤センター学術情報リテラシー係が作っているメールマガジン[Litetopi]は有用です。
    • とりあえず学校のアカウントとパスワードは早めに取りに行ってね*1

文献の入手やデータベースの使い方は最終的には慣れと経験だと思うので,学部生には特に「試しに検索」が重要だと思うのだけど……「暇だなー,よし,JSTOR見るか」とか言う学部生はまぁ,いても2人か3人だろうと思う。見始めたら結構面白いんですけどね。家にいながらにして論文をフルページ見られるというのはすばらしいことなので,私はたまに全く関係ない分野の論文まで読んだりしています*2。読まなければならない論文は面白くないものがほとんどなのに,なんで関係ない論文って,あんなに楽しいんだろう。
さて,再来週からはさっそく卒論構想発表が始まるようです。今年は内部の院志望者がとても多いのである。やる気がある学生にアドバイスする立場であるというのは,TAとしてとてもやりやすいし,同じ学生としてとても刺激的なことです。まずは借りているコーチングの本を読んでノウハウを身につけ,そして『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を読んで,今年の4年生を無事卒論提出へと導こうと思います。みなさまもお気づきの通り,後者は本当にやるか不明。去年図書館にリクエストしていたのに,いざ貸し出し準備完了の連絡が来た時には面倒臭くなっていて受け取りに行かなかった前科もあるので。
しかしD2ともなると,いよいよ指導的立場になってしまう。「しまう」というのはもちろん,そんなに成熟している自覚がないのに,という含意を込めている。先週ひさしぶりにP会2004年度入会博士課程学生陣(私,taoizm,りょーちゃん)が顔を合わせた時も,そういえば後輩指導の話が出た気がする。ほんとに大人になったねぇ,私たちも。

*1:理系の人々と違って,我々文系学生にとっては学校でPCを使えないということがほとんど致命的でないのです。

*2:映画『ピアノ・レッスン』を見たあと,映画論の論文を読み漁ったりしました