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ビーアンビシャス

余暇

なんか,予想以上に大変です。今日はほぼノンストップで9時間弱マイクロリーダーの前に座り続けました。それでも全体の10%も完了していない。もしかしてこれが世の博士課程学生の日常なのか?わたし今日,22時過ぎに図書館出たとき,よろよろしましたよ。君を探し彷徨うmy soulでしたよ。しかし研究手段がいまだにマイクロフィルムという歴史学,いったいどうなのだろう*1。そして北大のマイクロリーダーはなんとPC接続型欲しい史料をUSBメモリにPDF形式で保存できるのである。わたしが誇らしげにこれを話したとき,研究室の同僚から歓声が上がりましたよ。わぁそれすごいね!便利だね!と。でしょう,と別に自分の手柄でもないのにその時は思ったものですよ。しかしそれって,よくよく考えたら,21世紀の世の中に当たり前じゃないだろうか。あああお願いだから早く電子化して。キーワード検索できるPDF史料が普通の世の中になって。
そういうわけで,北海道1日目は何も北海道らしいことをしておりません。夜はスープカレーを食べるつもりだったのに,22時なんかに作業が終わってから開いているカレー屋などあるわけがない。最近パーマをかけ直した妖精のようなふあふあの髪でマイクロリーダーに向かっているわたしの真剣な横顔,それをいつしか見つめていた青年,彼は意を決してわたしに話しかける。「あの……お友達になってくれませんか」そこで初めて青年の存在に気がつくわたし。一目で恋に落ちるふたり。しかし伏し目がちにわたしは答える,「おのが身はこの国のものにあらず,東の京のものなり」……などと想像して楽しんでいたのに(!!),パーマだろうがなんだろうが,9時間弱も血走った目でマイクロリーダーの前に座って(マイクロ見ているとまばたきを忘れますから),右手はマウスに固定,左手はマイクロリールを回し続ける,これでは妖精どころか,姿勢だけ見ればさながらパチプロである。ああ。わたしの北の恋は。
それにしても穂村弘を持ってきてよかった。羽田空港で笑いをこらえるのに必死だったのは別として。それでは今日の午前中だけで3回も読み直したフェイバリット・パートを引用して寝ます。『にょっ記』142-5頁より。

にょっ記 (文春文庫)

2月16日 女性百科宝鑑

目白のポポタムで『女性百科宝鑑』(教養女性文化会編)という本を買う。
昭和三十四年刊行の十一版である。
<中略>
例えば,「結婚前後の諸心得」のなかの「甘美な新婚旅行」のなかの「入浴をするとき」の項目はこうだ。
さて次は入浴である。部屋にバスがついてない場合でも,然るべき旅館なれば家族バスの用意がある。そこで夫としては,
「どうです,一緒に入りませんか」
というのが一応のエチケットとなっている。しかしお互いにまだ清浄な関係である場合には,新婦としていきなりその言葉に従い,いそいそとして夫について行くのはどうかと思う。初夜が済むまでは矢張り,ほのかな羞恥の色を漂わせながら,にこやかに
「ええ,でも,あとでいただきますわ」
と柔かく辞退して別々に入浴する方が好ましい。夫としてもそれが花嫁のエチケットだと思って,しつこくすすめないことである。
しかし初夜が済んでからは,最早や完全な夫婦となったのであるから,二人で入る方が却ってよろしい。そうだからといって,矢張り女としてのはにかみは忘れてはならない。湯舟に入るときでも
「おねがい,向う向いてて」
などといっておいて,静かに入る。また湯舟の中でも,乳のあたりへはタオルを軽く当てて,ともかく露骨になるようなことは避けなければならない。

「ほのかな羞恥の色を漂わせながら,にこやかに」とか「湯舟の中でも,乳のあたりへはタオルを軽く当てて」とか,実に具体的な解説である。
男女のセリフが入っているところも実用的だ。
「どうです,一緒に入りませんか」「ええ,でも,あとでいただきますわ」「おねがい,向う向いてて」などとひとりで練習してしまう。

ところでわたしが今滞在しているホテルの大浴場は男女で時間分けがなされている(つまり,ひとつしかない)。女性が18:00〜21:00,男性が21:00〜24:00+07:00〜09:00と,男性の方が合計時間が長い上,便利な時間帯を占有しているのである。18:00〜21:00の間,わたしはもちろん血眼でマイクロリーダーと向かい合っていたため,静かに部屋のユニットバスで入浴しました。しかしこの,時代に逆行するかのような男性優遇システム。むう,と思いつつ,レディースデーやら「女子会」コースやら,とかく社会が提供してくれる女性優遇システムにどっぷりと浸かって当然視していた自分の卑しい部分を見たような気にもなる。いいや,たまにはユニットバスでも……。せめてMARKS&WEBのシャンプー&コンディショナーとジルスチュアートの洗顔フォーム,それにギンガムチェックのパジャマを持ってきておいてよかったです。

*1:そもそもマイクロフィルムって,みなさまご存じなのでしょうか。この情報化社会において検索すらできないウルトラレトロな代物ですが,歴史学で特に近世以降の時代を扱いたければこの機械と仲良くなることが必須であります。検索できないとなるとどうするのか。勘で止めるのです。ちょうどVHSを巻き戻したり早送ったりするときのような感じ。ここだ,と第六感が告げるまでじっと回し続けるのです。学年が上がれば上がるほどこのテクニックが熟達し,誤差が少なくなってゆきます。