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ロミオとジュリエット

余暇

おかげさまで昨夜はぐっすり眠れました。ああ安心した。
今日はピアノのレッスンを受けたあと,上野の東京文化会館へABTの『ロミオとジュリエット』を観に参りました。それにしても『海賊』『白鳥の湖』を観たのがついこの間のような気がしていたが,考えてみればもう3年も前になるのである。ぞっとする。
前回の『白鳥の湖』では絶望したジークフリートとオデットがものすごいジャンプで次々と投身自殺をするという劇的な終わり方だったので,今回も何かがあるに違いないとわくわくしていた。おお,わざわざロザラインに配役が。ロザラインは言うまでもなく,ロミオから熱烈に懸想されていたにもかかわらず,一目ジュリエットを見ただけであっさり心変わりされてしまうだけの不憫な女性である。ここ,配役があるというのは絶対何か後で生きてくるのだ。嫉妬に狂ったロザラインがロミオを殺しその肉をパイにしてジュリエットに食べさせるとか(『ロミオとジュリエット』+『タイタス・アンドロニカス』÷2)。もしくは蛇となって若い2人を焼き殺すとか(『ロミオとジュリエット』+『道成寺』÷2)。そんなことを妄想しながら結末を楽しみにしていたのだが,なんと結末はびっくり仰天,仮死状態のジュリエットの遺体がパリスに伴われて安置されている教会へロミオが入ってきて,まずそこにいたパリスを刺し殺す(!)というものであった。あはれパリス。なぜ殺されなければならなかったのか。ロミオもロミオ,もうどうでもよくなって殺人鬼と化しましたね。いつも思っていることだが,広場では死体が累々と積み重なるほどの殺傷を伴ういざこざが起こり,殺されなくてもよかったマーキューシオが殺され,そして投げやりになったロミオは殺人鬼に……全然fair Veronaじゃないと思うのですが。bloody Veronaの間違いではなかろうか。
で,まぁ,ストーリーはいいとして,ダンサーたちですよ。なによりルネサンスの貴族女性の衣装で踊るなんて大変だろうなぁというのがあるのだが。結構気に入ったのが,コール・ド・バレエの中の,娼婦役の3人。男の足元に唾を吐きかける演技とか,ジュリエットの乳母をからかう演技とか,大層迫力がありました。基本的に動きが優雅なバレエで「蓮っ葉」な感じを出すのは大変なことであろう。ソリストに関してはまず,金髪男性の見分けがつかなかった。ティボルトに殺されるまでどっちがマーキューシオでどっちがベンヴォーリオかわからなかった。ただしティボルトは一瞬でわかりました。思えば「いけすかなくない」ティボルトを見た試しがない。オリヴィア・ハッセーの映画のティボルトは比較的いけすかなくなかったかもしれない。そしてなんといっても,taoizmおすすめのナターリア・オーシポワ。いやー,ジュリエット適役でした。かわいいし飛ぶし跳ねるし。小柄なのにとても高く飛ぶので,ものすごく躍動感がある。本当に14歳なんじゃないかと思ったほどでした。カーテンコールでものすごく疲弊していたように見えたのが心配だが。言葉を使わず体だけで表現してこのシェイクスピアの大戯曲を見せてしまうのだから,バレエというのは本当に人智を超えた世界ですね。2人(+罪なきパリス)が息絶えるラストシーンなど,客席からすすり泣きが聞こえました。
学生割引が適用される最後の年にこの公演があってよかった。よいものを観せていただきました。それにしても命を懸けた悲恋か,14歳の自分を振り返ってみる。陸上部で1500mを走り,英検と漢検の取得に励み,夏にはピアノのコンクールに出て,生徒会執行部の一員でした。実に地味な14歳であった。あまり変わらないまま,25歳ももう折り返し地点である。おおロミオロミオ。