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だっこう

余暇

ここ数日間格闘していた原稿をひとつ,なんとか字数だけ埋めました。解放感!
字数って言っても2000字強くらいなのに,いやー,文章って本当に,出てこない時は梃子でも出てこない。そして文章が出てこない時というのは,何でああすぐに眠くなるんでしょうね。PCを机に置いただけで眠くなった日とかありましたよ。わたしに使われるのを待ったままで虚しく一夜を明かしたPCと,朝の食卓(実家では居間が仕事場)で再会した時にはもう,わたしなんてこの世にいない方がいい人間であると本気で思いかけた。いつも思うことだが,作家の多くが自殺を選ぶわけがよくわかるというものだ。恥の多い人生を送ってきました……
しかし今回改めて気づきました。文章が「出てこない」というのは,無意識のうちに最初から完成形の文章を仕上げることを考えているから出てこないのである。最初はもうとにかく,箇条書きみたいになっても,文字が虫に見えてきても,とにかく字数を埋めることだけを目標に,思いついたことを全部書き付けてみることだ。わたしの場合は,埋まらない原稿を見ると焦燥感からますます一字も浮かばなくなってくるタイプなので,特に。文章を書き出すスタイルというのは千差万別で面白いですよね。完璧に下調べが終わってから書き始めるタイプもいるし。
ところで,わたしの場合は初稿が終わったばかりなのだが,原稿が仕上がることを「脱稿」といいます。「終稿」でもなく「脱稿」。「脱」一字があの解放感を雄弁に物語っていて素晴らしいと思うのだが,一方で「だっこう」というと同音異義の「脱肛」もあるので,ちょっと語感としては複雑なものがありますね。現に浅田次郎が,いつだったかの「つばさよつばさ」連載で「脱稿」と「脱肛」を掛けて文章を書いていたわよ。まぁあの人ならやりかねない。それどころか,やると思った。そして案の定,面白かった。「つばさよつばさ」,JAL機の中で笑いをこらえるのに大変なのである。

つばさよつばさ〔文庫〕 (小学館文庫)

つばさよつばさ〔文庫〕 (小学館文庫)

単行本化されていたのは知っていたけれど,文庫本化もされていたのは知らなかった。買おかな。