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「迷う」

余暇

日曜朝6時から放送しているNHK短歌,今週のお題は「迷う」でした。いいテーマ。集まった作品もまた,琴線に触れるものが多かった。

即答の「コーヒー。アイス。」迷わないふりするうちに迷えなくなる

神戸市・飯田和馬さんの作品。わたしは今回集まった歌の中で一番いいと思った。「迷わないふりするうちに迷えなくなる」の一節が持つ引力の強さよ。

本当の姉妹になってと友言いき引き受けてより迷いは生れぬ

高知県越知町・宮橋和代さんの作品。女子の友情,特に中高生女子の友情はウェットです。手をつないで一緒にトイレに行くとかそういうのが高じるとこんなワケわからん感じになるのです。この頃の友達があっさりした子ばっかりでよかったー。

「迷わずにあなたについて行きます」のキミの一言ボクを迷わす

オーストラリア・ニューサウスウェールズ州から樋口強さんの作品。「キミ」「ボク」の片仮名表記が絶妙。迷わずについて行くって言われてもね。たぶん,引くに引けないかっこいいプロポーズでもしてしまったんでしょうね。

引き返すなら今なのだらう夕まぐれ藤棚の藤かくも匂えり

言語情報の品田悦一先生の作品(今回のゲスト選者でした)。先生のご専門であるところの斎藤茂吉が愛人との不倫に踏み出すまさにそのシーンを詠んだ歌だという。なんでも茂吉が初めて愛人とキスをしたのは銀座の藤棚の下だったという有名な逸話があるのだとか。「引き返すなら今なのだらう」!おしゃれ!フランス映画みたい!ただ「夕まぐれ」という言葉は美しいのだが語感がちょっとごたつく気がするので,わたしだったらここは「夕ましの」とかにしたいところかなぁと思った。

途切れない小雨のような喫茶店会おうとしなければ会えないのだと

「迷う」とは関係ないが,ここでも何度か紹介している大森静佳さんの歌。恋のはじまりと恋の終わり,正反対の情景を詠んだ歌ではあるけれども先ほどの品田先生の歌からなんとなく連想しました。