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佐渡流人行

読書

佐渡流人行―傑作短編集〈4〉 (新潮文庫)
「さよう。ずんと奥が深うございます。それに十間ばかりはいりますと,急に地下に掘り下げた穴がございますので,知らぬものがうっかりはいると危のうございます
その穴に落ちると,死ぬか?
不用意にその質問が口から出た。
はい。生命はありませぬ。何しろ,落ちたら最後,二三十尺ございますし,匍いあがる手がかりはなく,
<後略>
(「佐渡流人行」より・260頁)

昨日帰宅してからというもの,案の定ではあるが,さっそく清張の虜になっております。止まらないどうしよう止まらない。
引用したのは『佐渡流人行』の表題作である「佐渡流人行」の一節。「うっかりはいると危のうございます」,わたしにはこれが清張ワールドへの危険な誘いに感じられます。佐渡金山の間歩のことではなく。

「奥の竪穴に落ちると生きては戻れません。死にましょう」
(「佐渡流人行」286頁)

もはや生きては戻れないわたしに幸あれ。