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George Egerton

読書

Keynotesより。

No, you must listen without touching me, I shall go back to the window. I don't want to influence you a bit by any personal magnetism I possess.(p. 111)
だめよ,私に触れずに聞いてくれなくては。窓まで下がった方がよさそうね。私の力でちょっとでもあなたを左右したくないの。

Her face is more characteristic than beautiful. Nine men would pass it, the tenth sell his immortal soul for it. [...]The eyes tell you little; they are keen and inquiring, and probe others thought rather than reveal their own.(p. 117)
彼女の顔つきは美人というよりは特徴的だ。9人は彼女の前を通り過ぎるだろうが,10人目はそのために魂まで投げ出すような。<中略>その目を見てもほとんど何も読み取れない。鋭く問いただすようで,彼女自身の考えを見せるというより他人の考えを暴き出す。

George Egertonは19世紀末アイルランドを代表する女性作家。エ「ガ」ートンではなくエ「ジャ」ートンと読むのが正しいらしいこの名前は,彼女の2番目の夫(この人は3回結婚しています)のもの。いわゆるNew Woman文学の旗手でありまたオスカー・ワイルドとともにデカダンを牽引したというこの方,残念なことにあまり知られてこなかった。かく言う私もほんの1か月ほど前まで実は名前も聞いたことがなかったのだが(とことん無知が恥ずかしい),いやー,読んでみて痺れました。文体から匂い立つような「いい女」ぶり。作品の構成もなかなかユニークで面白かったのだが(特に時間枠の扱い方がとても印象的),なんといってもこの他に類を見ないような表現法。特に作中の女性の蠱惑的なこと。とどめにビアズリーによる表紙の装丁。現在進行形の研究のために読んでいたのだが,本題とは関係ないメモばかり取ってしまった。本を読んで息が上がったのは久しぶりです。

A woman must beware of speaking the truth to a man; he loves her the less for it. It is the elusive spirit in her that he divines but cannot seize, that fascinate and keep him. (p. 29)
女は男の人に本当のことを言うとき気をつけなくてはね。殿方の愛情はそれで減るでしょうから。男の人が気づきはしてもつかめない女のわかりにくさ,それこそが殿方をとらえて離さないものよ。

勉強になります,と素直に言いたいところだが,この台詞のすごいところはこれがまさに「殿方」に対して発せられたものであること(女に対する訓戒ではない)。そしてこんなことを言われている時点で,その男の心はすでに絡め捕られているわけです。