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振り向けば 心の荒野に

今日は私よりも,読んでくださっている皆様の血の気が引きそうなことを最初に書こう。

ウルトラブックのキーボードに,コーヒーをぶちまけました。

中2の時実家にWindows95がやってきて以来,私とPCとの付き合いは実に15年近くになるが,これまで一度もこの手の惨劇を起こしたことはなかった。私は携帯を水没させたことすらないのである。世の中でこうした悲しい事件が多発していることは知っていた。しかし,どこかで自分とは無縁と思っていたのかもしれない。そしてどこかで奢っていたのかもしれない。コーヒーがキーボードにかかった時,人はどういう反応をするのだろうか。私は小さい声で「えっ,えっ」と言い続けつつ,すぐにバスタオルを取りに走り,とりあえずこぼれたコーヒーを拭いたあとでパソコンをひっくり返し,ドライヤーで乾かし*1,電源を落としてキーボードを下にして乾かし始めた(今この状態)ので,世のコーヒーこぼしっ子の中では冷静に迅速に対応できた方かもしれない。もっとも理想的には「すぐ電源を落とす(コードや周辺機器も切る*2)」→「ひっくり返して乾かす」が正しいみたいですね。この初動が迅速に行えるかどうかで救出の可否が決まるといっても過言ではないとか。私のPCは惨劇のあとも普通に動いていたので,たぶん乾燥してからバックアップを取ることは可能だと思うのだが。

でもたぶんこれ,今後のことを考えると修理だろうな。今回は高確率でHDDも交換になるだろうな。そう思ってとりあえず東芝海外修理サービスに修理が必要かどうかも含めて問い合わせ,かつAIUに連絡して補償対象になるかどうか,また保険金請求が可能ならばどのような手続きが必要か問い合わせておいた。AIUの方はこちらの時間で夜中に返事が来て,最大10万円まで補償されるとのことであった。

あーーーーーーーよかったーーーーーーーーーー。

おそらくはべらぼうに時間もお金もかかるだろうから,お金の面だけでもなんとかなることがわかって本当によかった。

今回の経験で学んだこと。1. バックアップの必要性。2. 保険の重要性。そして,3. 長きにわたる一人暮らしは私を不慮の事故に対して必要以上に成長させているらしいということ。しかし3つ目の資質は今後たとえば恋愛市場やら結婚市場やらにおいてどう働くかは知らない(たぶん概して不利であろうことはわかる)。海外で生活するうえでは,思っていたより自分が頼りになるらしい,というのは本当によかったが。

ついでにバックアップだが,こういうとき博士課程の学生は博士論文の原稿を思って真っ青になるべきかもしれない。しかし私はデスクトップに保存してあるもろもろの邪悪なものやら,「お気に入り登録」してある様々な禍々しいものやらをまず心配してしまった。博論の原稿なんて,はっきり言ってすぐに取り出せるんです。メールで送ったりしているからネット上にあるし。これで50000ワードとか書いたのが一気に消えたのであれば(考えるだに恐ろしい),私はドン・エンガスから身を投げるべく,アラン島へのフェリー乗り場のあるロッサヴィールへ向かってゴールウェイ中心部からバスに乗るため,まずはダブリンのブサラスへ向かって歩き出すだろうが。乗り換えが多くて面倒臭い。

さて,こうした惨劇によって傷心したのだが,覆水盆に返らずだし,覆コーヒーマグカップに返らずだし,気を取り直して夜は約束通り,ハウスメイトきゃりーと一緒に雪組ベルサイユのばら フェルゼン篇』を鑑賞。ジャニオタとヅカオタ(ってほどではないがヅカファン)を並立する私の嗜好は,今後たとえば恋愛市場やら結婚市場やらにおいて(以下略)。

きゃりーは最近「ちぎちゃん」こと早霧せいなにご執心でいらっしゃるようで,とにかく早霧オスカルを見ろ見ろと言われたのだが,私はフェルゼン(演じるのは壮一帆)がものすごく鬱陶しいことに気を取られてそれどころではなかった。以下箇条書きにすると,

  1. オスカルに「女でありながら女を捨てた」とか殺戮ものの無神経発言をしておきつつ,オスカルがちらっとなんか(でも別にそんな決定打ではないことを)言ったら「オスカル……君は僕を……(不敵な笑み*3)」。この勘違い野郎!! オスカルも男を見る目がなさすぎる!!
  2. 1幕終わりでは「私を慕ってくれた人は白バラのような人でした」。勝手にオスカルが自分のこと好きなことにすんな!! オスカル,何も認めてないのに(いやでもまぁ,そうなんですけどね)!! 
  3. スウェーデン国境のシーン。フェルゼンにはかっこいい殺陣のシーンがそもそもないので,このシーン自体取ってつけではあるのだが,「これ以上人に迷惑をかけたくない」とかお前今更何を言うと誰もが内心思う台詞のすぐあと,結局「この剣を見ろ!!」そして国境とはとても思えない粗末な木の柵を足で蹴飛ばして無事にスウェーデン脱出。どうぞ安全なフライトを。
  4. 「ゆけゆけフェルゼン」。今まではこれが一番有名なシーンでしたが,今回は「フェルゼン篇」ということでその前後(前述のスウェーデン国境も含めて)も描かれている。結果,フェルゼンはフランス国境あたりまで呑気に徒歩で来たらしいことが判明。フランス国境で国王ルイ16世の処刑のニュースを聞き,アントワネット,いや「カペー未亡人」も明日をも知れない宿命であると聞いて初めての「ゆけゆけフェルゼン」。いや,「アントワネットさまどうぞご無事で」じゃないだろう。てっきりスウェーデンからずっと馬車ぶっ飛ばしてきたのかと思っていたが。きっとすべてのベルばらファンが驚愕したであろう。

という感じで,大層フェルゼンに笑える公演でした。いやー,フェルゼン,原作読んだときからそもそも好きではなかったが,いやー,ほんと面白いなぁこの人。大嫌いになりました☆*4

あとは「あなたは薔薇の花びらを食べるのですか?」でお馴染みジェローデルがものすごく熱い男に描かれていたり(もちろん「あなたは薔薇の花びらを~」は言いません),2幕始めに謎のダンスがあったり*5など,さまざまに気になることはありつつ,全体的にはとても楽しめました。きゃりー一押しのちぎちゃんについては,う,歌が気になりつつも「さあ諸君選びたまえ!!」のオスカルとかやっぱりとても格好良かった(ただ「女伯爵」は「ラ・コンテス」と読んでほしかった)。アンドレ役の未涼亜希さんは美声ですばらしい。個人的には,アントワネット役の愛加あゆさんとベルナール役の彩凪翔さんが印象に残った。愛加さんのアントワネットは私が見た中で一番よかったと思う(最後に短い髪でギロチンへ向かうシーンが出てきたのもよかった)。ついでに言うと,「この革命は失敗だった」というアラン&ベルナールの台詞があったのも衝撃だった。これは‘le dérapage de la révolution’*6の反映か!?(たぶん違う)

勝手にジャニーズ仲間に仕立て上げている別のハウスメイト・るかちゃんが今カナリア諸島を旅行中なので,仕方ない,このタイミングでヅカオタきゃりーが「ベルばら一緒に見ましょうよ」と言っているのに付き合うかと思って開いた鑑賞会であったが,いやいや,やっぱり宝塚は楽しいです。『銀英伝』がすばらしくよかったので絶対に現行の宙組は近々観たいと思っているのだが,雪組も今度ぜひ観てみたい。

こんな感じで,いつも言われることではありますが,ダブリンライフはとても楽しいです。

*1:後から知ったのだが,これよろしくないみたいですね。

*2:幸い,私の場合はコードも何も付いてなかった。

*3:これは壮一帆の持ち味らしいが。

*4:もちろん褒め言葉です。

*5:きゃりーによれば「休憩からすみやかにベルばらの世界に戻すため」のものであるらしいが,私は逆に困惑をきわめた。

*6:F Furet and D Richet (1965), La Révolution française (Revised Edition, Paris, 1970), p126. ←職業病