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本能的なサティスファクション

昨日の冷気にやられて帰り道はなんだか喉がひりひりし,いかん,これは風邪を引いたかもと思って早めに寝たのだが,今朝起きてみたらごくごく軽いものもらいを発症していた。体力を奪い抵抗力を弱めるほどの冷気ってなんなんですか。しかもEarly Printed Booksなんて,ごくごく一部のガリ勉な人間(院生とか先生とか)しか使わないようなところなのに,そこが寒いって,私たちが何をしたって言うんですか。知的好奇心は,学究の心は,罪なのか?

しかし今日はそんな比較的悪いコンディションをおして史料調査に出向いた。前もってアポを取っていたためである。

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もはや「アーカイブ」ですらない出版社の備品倉庫で,1900年から1901年にかけて出版されたパンフレットの中からフィクション作品を選びとり,それを図書室に持って行ってひたすら写真を撮るという作業。それこそ1世紀近く年季の入った埃のため,応対係のLirさんが渡してくれた新品の手袋はすぐに真っ黒になった。歴史学の研究というのは本当に,地味です。でもなんでしょう,清潔に(それこそデータベース化などされて)整頓された史料をアーキヴィストに頼んで粛々と出してもらう時よりも,手とか服とか汚しながらこうして未整理の史料をひとつひとつ切り崩して行くときこそ,私は愉悦を感じます。超心理的持続インスピレーション 本能的なサティスファクション♪ あ,もちろんこれは『Luv sick』ですけどそれはいいとして,まさに今自分は歴史学を研究しているのだ,という実感が持てますよね。しかも未整理なあたり,フロンティアな感じがして。

一騎当千レベルの史料に巡り会うことはできなかった(と思う)が,これを分析して最大限良さを引き出さなければなりませんね。悪い癖なのだが,どうも私の史料の使い方は料理で例えれば「素材のよさを生かした」感じで,つまりはポンと提示するだけ提示して「この史料面白いでしょ?それだけで十分面白いでしょ?」と言っているような感じである。それを「史料によく語らせている」とお褒めいただいたこともあるのだが,でもそれだと私の役目ってなんなの,ただ史料を見つけてきただけじゃん,それなら別に私じゃなくても,たとえば私のリサーチアシスタントとかでもできるじゃん,とずっと思っていた。ちゃんと調理方法も味付けも盛り付けも工夫して,最高の状態で供さなければいけませんね。そしてそのあたりが,個々の腕の見せ所になりうると思うんですよね。お菓子もそれだけで十分おいしいのに,売れるためにはかわいく見せたりしなければいけない。『失恋ショコラティエ』でサエコさんが言ってますね。