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BCGとアイルランド独立:ドロシー・ストップフォード=プライス

私はなにもTwitterでジャニーズのことばっかり叫んでいるわけではなくて,ちゃんと本業に関することとか,様々な思索のメモも残しているわけです。この女性はDorothy Stopford Priceという方で,学校に行ったついでにいつものHodgis Figgisをうろついていて見かけた本(下に貼り付けてあります)で知った。ナショナリスト史観は過去のものになりつつあるといっても,やっぱり「Rebel doctor」とかこういうサブタイトルが付くあたり,女性史はまだまだその点立ち遅れていると言わざるを得ない。

Dorothy Stopford Price: Rebel Doctor

Dorothy Stopford Price: Rebel Doctor

 

 私の研究上の信条として「女性を取り上げるとき,目立つ(=戦った)女性より目立たない(=戦わなかった)女性の方が圧倒的に多いわけで,そういう存在に目を向けなければ」というのがある。なのでこういう扱い方を前面に押し出してくる本は割と敬遠しがちなのだが,とはいえ女性史をやっている以上無視することもできないので,とりあえずいつも立ち読みくらいはしてみる。でも,この人は私の予想を裏切ってとても面白そうだった。帰ってからDIB(Dictionary of Irish Biography)で調べてみた。なんでも彼女はアイルランドにBCGを導入した医師であるそうなのだが,彼女いわくアイルランドは主にイギリス経由で主に医学の知識を仕入れていたため,大陸の医療情報が入って来づらかったということである。彼女が指示したヴァッセン(Dr. Wassen)という医師はBCGをスウェーデンで導入した医師であったらしい。

で,上でのツイートへということになる。私は今のところDIBしか読んでおらず,そしてDIBにははっきり明記はされていなかったが,彼女のようなアカデミックな人が革命運動に身を投じていく場合,こういう「学問上のもどかしさ」みたいなものがその原因になりうるというのがとても面白いと思う。代表的なのはアイルランドではたとえばIrish Volunteerを組織したオウン・マクニールがいるが,歴史学者である彼はアイルランド史の研究にアイルランド語の史料がまったく用いられていないというところからそもそも疑問を持ち,アイルランド語復興運動とかにかかわるようになっている。こういうのってとても独特で面白いと思うのだが,今まであまり言われてこなかった気もする。オウン・マクニールについては多く研究が出ているが,このドロシーさんをたとえば19~20世紀転換期にもてはやされた「アイリッシュ・リケジョ」のひとりとして取り上げ,さらにこうした学問と革命思想の関係とか,女性であるということがどのように影響したかとか,そういうことを考察すれば面白いかもしれない。なにより憧れの科学史にこれでまた一歩近づける気がする。博論終わったらやりたいことリストに入れておこう。それと,とりあえずこの本ちゃんと読もう。

ちなみに冒頭で「私はジャニーズのことばかり叫んでいるわけではない」と書いたが,このツイートの直後くらいに以下のようなツイートをしている。やはりジャニーズのことばかり叫んでいた。いやー,萩谷くんかっこいい。ちなみに萩谷くん,この写真の当時は16歳だが,今は17歳です(だから何なんだ)。