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Show Me How You Burlesque

アレクサンドラ・カレッジでの史料調査がようやく今日ひと段落ついた。どうやら同窓会文化にカギとなるものがありそうだ,というところまで目途がついたのだが,いかんせん私本人が同窓会という同窓会にまったく興味がないので,わからん。『エルサレムのアイヒマン』のあと「ユダヤ人を愛していないのか」と非難されたハンナ・アーレントが「自分が愛するのは友人だけであって,何らかの集団を愛したことはない」と答えたそうだが,心底共感する。それに私が卒業してきた学校はすべて地方の公立なので,そのコネクションが何らかの役に立ったこともない。やはり同窓会文化というのは,エリート校にしか通用しないものなんじゃないか。しかしそのエリート校にしたって,卒業した後も学校とのつながりを持ち続け,同窓会で卒業生と在校生が一緒に活動できるサークルまで作って後輩の面倒をみたりする,そのメンタリティが私には皆目見当もつかない。そして皆目見当もつかないことは「世間にはこういうこともあるらしい」と割り切るしかないのである。

さて,今日は史料調査のあと一旦帰宅してご飯を食べ,そして人生初のバーレスク鑑賞へと繰り出した。


Kat Moiselle Fan Dance Dec 2012 - YouTube

……繰り出したものの,結論から言うと,おそらく今日を人生初のバーレスク鑑賞に選んだのは失敗だった。これ,今年のDublin Burlesque Festival(2011年からやっているらしく,去年は物怖じしているうちに行きそびれた)の初日だったのだが,どうも初日らしくただ「開催を祝う」意味合いのものだったらしい。バーレスクショーは最初に出てきた3人だけで*1,あとはずっとバンドの演奏だった。せっかく予約席で行ったのに,しゅん。でもモワゼル嬢のファンダンスはとてもよかったので,もっと観たいという気にはなった(あと,痩せようと思った)。オンラインでのチケット販売は終了してしまったけど,当日券なら買えるらしいので,もう1回くらい行きたいなぁ。なんか不完全燃焼。むしろ開場を待っている間,周りの人々がものすごく気合いの入った20年代~30年代ファッション(そうでなければ黒のキャバレーっぽい感じ)に身を包んでおり,ここはグレート・ギャツビーの世界かそれとも『シカゴ』か,とにかく今にもチャールストンを踊り出しそうな雰囲気に包まれていたので,思いっきり大学院生ファッション(雨が降っていて寒かったのでモッズコートなんて着ていた)に身を包んでいた私は居たたまれなかったので,そちらの方が記憶に残っている。

待っている間の私の暇つぶしツイートの数々。SNSってこういう時には便利だ。ただしバーレスクの開場待ちながらTwitterに投稿するって,セクシーさのかけらもない行為ではあるが。

少ない少ないショーを観ながら思ったのは,バーレスクってもちろん肉体美も要素のひとつだとは思うが,決してそれだけではないんだなということであった。バーレスクダンサーって,失礼ながら決してピチピチの若い子というわけではない。私は気合いを入れてかぶりつきの席で観ていたのでわかったのかもしれないが,体つきもそんなに引き締まってプリプリというわけでもない。セルライトもあったし,ものすごく巨乳というわけでもない。しかしそれでも見入ってしまうのは,もちろん物珍しいものを見る興味もあるが,それ以上に彼らの仕草とか物腰とか表情が扇情的というか蠱惑的であるからで,それはもう演技力の問題だと思う。バーレスクってセリフがないし,結局は脱いでいくプロセスを楽しむものなので(どちらかというと脱いだ「結果」より「プロセス」を見る様式美芸術である気がした),表情と「見せ方」だけの世界だし。このあたりはパントマイムにも似ているのかもしれない。実際,モワゼル嬢は自分のステージの後普通に客席で観ていたが,ちょっと歩くだけでも腰の使い方が妖艶だったし,常にミステリアスな笑みをたたえていた。おそらく女性として見習うべきは,彼女の体つきというよりこちらなのでしょう。

とはいえやはり不完全燃焼だし,感想を語るには燃料が絶対的に不足しているので,やっぱりもう1回くらい会期中に観に行ってみたいものです。はっ,これがオープニングナイトの思惑なのだとしたら,思いっきりその手に乗っている。きっとその手は,大きな白い羽扇子の形をしているに違いない。

*1:そのうちの1人が今年のミス・バーレスクアイルランドのキャット・モワゼル嬢。動画をご参照ください。