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ジャニーズカウントダウンが放送されないことについて

 

【12月5日 追記】

Twitter等での拡散からこちらをご覧くださったみなさま,ありがとうございます。私も今回の事態を受けて冷静にこの記事を見直しましたところ,あたかも放送されないことが「決定された」ように読める箇所が数か所あることに気が付きましたので,初稿を訂正しております。この記事の内容はただ私が思ったことであって,決定事項をお伝えするものではありません。不注意な書き方をしてしまったことを深くお詫びいたします。

 

 

ダブリンにひとつの報告がもたらされた。と書き出せば『沈黙』っぽいが,実際は自らそのニュースを得たのである。つまり,ジャニオタの年越しの友であるところのジャニーズカウントダウン*1が今年は放送されない可能性があるという。時差の関係で,私はいつも起き抜けに日本のニュースに触れることになる。中にはこんな風に衝撃的なものもあるから油断も隙もない。私は愕然とし,しばらくベッドの上で正座してスマートフォンを見つめていた。

冗談じゃない。カウコンを見ずにどうやって年を越せと言うのだ。巷の人々が除夜の鐘に耳を澄まし,煩悩をひとつひとつ洗い清めていく頃,我々はジャニーズメドレーに熱狂し,世間の人々が捨てた煩悩を残さずかき集めて自分になすりつけ,108つでは到底収まらないほどに煩悩にまみれて新年を迎えるのだ。そもそも年末に地上波放送されるライブと言えば,小田和正クリスマスの約束』,それにこのカウコン,いずれもその年を締めくくるのに欠かせない要素ではないか。ふざけている。まったくふざけている。

今回の悲報にあたり,数名から「もう(有料の)ジャニーズチャンネルを作ればいいのではないか」という声も聞かれた。名案だと思う。ただ私は,ジャニーズは地上波で放映されてこそ意味があるとも思っている。人はパンのみにて生くるにあらず,ジャニーズはジャニオタのみにて生くるにあらず。むしろ,地上波にゴリゴリと出演させて強制的に一般の方々にも認知させるシステムを構築してきたからこそ,今のアイドル帝国の地位を築けたといっても過言ではないはず。『Sexy Zone Channel』や『ガムシャラJ's Party』に見られるような,一番おいしいところを有料放送にする現在主流のやり方は,まことに遺憾としか言いようがない。有料チャンネルにお金を払うのがもったいないと言うのではない。何によってジャニーズがアイドル帝国たり得たかを考えれば,地上波放送をしないというのは愚行でしかないと思われるからである。

それに,私がカウコンが放送されるべきと考える一番の理由は,私自身の経験と主義に基づいている。カウコンはかつての私のような「マイルドなジャニオタ」をジャニーズに繋ぎ止めておく一番の切り札であり,そしてこの「マイルドなジャニオタ」こそが鍵を握る存在であると考えるからだ。これは私の歴史研究における持論でもある。ある思想や活動に対する態度を「A 熱狂的に従事/支持する人(ジャニーズで言えば,熱狂的なジャニオタ)「B シンパシーは感じているが活動に身を投じるにはちょっと抵抗を感じている人(「マイルドなジャニオタ」)」「C 存在を知ってはいるが興味を持つほどでもない人(「一般の視聴者」)」「D アンチ」に分けるとするならば,リクルートにあたって一番ターゲットにすべきはBとCの幅広い中間層(in-between)である。DをA,B,Cのいずれかにすることでも,もしくはAをAAにすることでもなく,BやCの人々をいかにしてAに近づけていくかがその活動の明暗を分けると言えるし,これが歴史上繰り返されてきた「動員」の秘訣であるとすら考えられる。*2

つまりこの説明がまた,ジャニーズのファン獲得の構造にも当てはまるのではないかと思われるのである。私の粗い分類において,前述した「ジャニーズチャンネルを作る」が「AをAAにする」案だとすれば,私が最も効率的であると主張する「BやCをAに近づける」方策こそが,カウコンを地上波放送することであると考えるからである。ファンクラブにも特に入会していない,コンサートに行くわけでもない,ジャニーズがテレビに出ていたらとりあえず見るくらいのレベルの人間(ジャニオタ用語で言うところの「茶の間」)にとって,カウコンは唯一「これぞジャニーズのコンサート」に触れられる貴重な機会である。そしてカウコンを見ることによって,「マイルドなジャニオタ」はジャニーズ熱を保つか,あるいは尖鋭化する。ちょうど去年(というか今年),嵐もKAT-TUNも出ないカウコンをまったく期待せずに見た私がキスマイに熱狂し即座にファンクラブに入会したように(これは尖鋭化する例)。つまりカウコンを地上波で放送することによって,ファンクラブの入会者数は確実に増えるはずなのだ。しかも私のように,キスマイファンクラブにだけ入会するのは「嵐に申し訳ない」という妙な忠誠心からもともと好きだったグループのファンクラブに再入会する例も多いはずである(きっと)。ファンクラブにさえ入会させてしまえば,あとはおそらくジャニーズ事務所の思うつぼである。「私はファンクラブの会員」というアイデンティティを持ったファンたちは,喜んでいろんなことに金を使うだろう。そう考えれば,ジャニーズ事務所にとって,カウコンという恒例行事を地上波で放送することに,メリットはあってもデメリットはないはずなのである。カウコンを見て,ジャニーズのコンサートって素晴らしいと再確認し,こんなコンサートを生で見たいと考え,一番の近道であるファンクラブ入会を選択するというのは,ごく単純な思考回路ではないか。しかしそれには,きっかけがなければ何も始まらない。そんな単純な理屈に気づかないジャニーズ事務所でもないと思うのだが。

しかし,本当に決定されてしまったのだとしたら仕方ない。日本で今日放送されたFNS歌謡祭が,おそらくフジテレビにとってもジャニーズにとっても,地上波カウコンの代替案なのだろう。今年のカウコンの放送がないことについて,本当のところは誰にもわからない。せめて今年の決定が悪い例となり,来年からはまたカウコン地上波放送が復活されるよう願うばかりである。

ああ,それにしても,どうやって年を越せばいいんだろう。これを見たいがために帰国すると言っても過言ではないくらいなのに。とりあえず高校のキスマイ仲間に声をかけ,年末に集まるときはぜひ,前回のカウコンを一緒に見ようじゃないかと提案しておいた。反応はそれはそれは芳しく,あれよあれよと決定した。このキスマイ仲間4人,内訳すればAAが2人(私含む),Aが1人,AとBの間くらいが1人である。ほらやっぱり,熱の入れ方が多少違ってもカウコンというきっかけがあればみんな結集するじゃない。本当にもったいない。

*1:以下,通称通り「カウコン」と略称します。

*2:私が博士論文で試みていることこそ,この持論に基づいてアイルランド文化復興運動を説明することです。