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ショスタコーヴィチあなどれないわ

大変影響力のある方に見つけていただいたおかげでびっくりするほどたくさんのみなさまにこの日記をご覧いただくことになり,*1うれしいやら恥ずかしいやらです。新しく読者登録いただいたみなさま,本当にありがとうございます。

ただ申し上げておかなければならないのですが,こちらの日記は本当に私の単なる「日記」であって,ジャニーズに特化して書いてあるわけでもはたまた研究に特化して書いてあるわけでもありません。もっと悪いことに,ほぼ毎日更新しております。ですので読者登録されている方は,通知の設定を変えるなどして,どうか日々の生活のお邪魔にならないようになさってください。これらが予想と違っていたという場合は,登録を解除してくださってももちろん構いません。また毎日更新しておりますので,Twitter等で通知することもあまりありません(どうしても共有したい時だけ通知しております)。なにとぞご理解いただければ幸いです。 

 

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さて前置きはこれくらいにして,今日はひさしぶりにRTEオケを聴きに行ってきた。席はいつもの10ユーロのクワイアシート最前列。最安値なのに音響いいし,なにより指揮者の表情が見えたり,下手すりゃ楽譜の書き込みまで見えたりする臨場感あふれるこの席(まるでオケに乗っている気分にすらなれる!)を,私はこっそり「バクステ最前神席」と呼んでいる。

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本日のプログラム。ボロディン『韃靼人の踊り』,プロコフィエフ『ピアノ協奏曲第1番』,ショスタコーヴィチ交響曲第5番』。チケットを買ったのがずいぶん前で,その時はボロディンとプロコとショスタコをやるということしか知らずにロシアものというだけで飛びついてしまったのもあり(私の悪癖),実はこの曲目,昨日初めて知った。プロコはいいとしても,なんだこのハードコアプログラム。時まさにクリスマスシーズン,ロシアものをやるならあるだろう,チャイコフスキーという適役が。クリスマスはくるみ割りましょうよ。眠れる美女起こしましょうよ。なんでクリスマスに,虐げられた民のかそけき悲嘆,そして革命の足音に耳を傾けねばならないのか。そもそも12月の金曜の夜,こんなプログラムの演奏会に一人で鼻息も荒く駆け込んでいく28歳(それもあとわずかだ),どう考えてもモテない。

……と思ったが,そして私がモテないのはその通りなのだが,やっぱり超有名曲を生で聴くというのはいいもんである。すべて生で聴くのは初めてだったと思うが,韃靼人から鳥肌が立ち続けていた。この「バクステ最前神席」のいいところは,知っている曲なら特に,出番が近づき楽器を構えるソロ奏者の緊張感すらも目にすることができることである。しかも今回のプログラムは管のソロが多かったので,近くからばっちり見ることができた。ピアノ協奏曲があるのにいつも通り指揮者から向かって左側の席に座ってしまったのは誤算だったが(指が見えないので),しかしこの席は同時に,低音金管そしてティンパニの真上でもあるのである。クラシックがお好きな方には,既に何が言いたいかおわかりの方も多いかと思う。この席はショスタコ5番の第4楽章で真価を発揮した。


スヴェトラーノフLSO、ショスタコーヴィチ交響曲第5番第4楽章 - YouTube

第4楽章ってもういろんなところでBGMに使われるこの曲なんですけど,ちょっとだけでもお聴きいただければおわかりの通り,低音金管ティンパニが面目躍如する曲なのです。そしてこの低音金管ティンパニで奏でられる旋律が前述した「革命の足音」を示すモチーフになっているのだが,いや,私はもう,ロシア革命の場に居合わせたかと思ったわ。ヴォルガの農奴よ鍬を持って鋤を持って立ち上がれ。地鳴りのように鳴り響くものすごく有名なモチーフに,私はもう卒倒せんばかりに興奮した。ロシアものの中でも私が好きなのはサンクトペテルブルク(not ペトログラード)の香り漂うロマノフ朝期のものか,もしくはストラヴィンスキーとかみたいな1920年代パリかなのだが,いけいけGoGoソヴィエト!な体制迎合系統の作品もいいな,と初めて思ったような気がする。

それに,こんなことを言ったら不謹慎かもしれないが,ショスタコーヴィチはこれ,本当にイメージ通り「自分の音楽の理想との乖離に苦しみながら」書いたのだろうか?と聴いていていつも思う。確かにそういう事情はあったのだろうが,なんというか,負の感情をあまり感じないのだ。もちろん指揮者も奏者も楽しそうだし。むしろ,無知で無粋極まりない要求をされた知識人が,じゃあお望み通り作ってあげるけど,いろいろな仕掛けに気づくかな?とかほくそ笑みながら作った曲のように思えてならないのだ。仕掛けというのはもちろん,こうしてものすごく有名になることも含めて。いわゆる優等生の性格の悪さというか,自分の意に添わなくても体制側のお望み通りの仕事をする,というのは案外楽しかったりする。そもそもショスタコーヴィチのような頭のいい人が,打ちひしがれて絶望して言われるがままに曲を作ったりするようには到底思えないのだ。そう考えると『ショスタコーヴィチの証言』を出版したのも何か狙いがあるような気がするわ。ショスタコーヴィチあなどれないわ。

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ほら!子供の時からこんな目つきしてる!素直に体制に従うとは到底思えないわ!

そういうわけで,しばらくぶりに生オケを聴いた上にこんな曲聴かされてたいそう気分が高揚しており,*2妄想にまで走り出したが,現在1時過ぎである。そろそろ寝なければならない。眠れそうにないが。

*1:昨日1日で37487人の方が私の日記をご覧くださったようです。こんなこと今までなかったので本当に驚いています。

*2:しかし本プログラムをショスタコのこの曲にするというのは本当にいいと思う。他のどの曲にもまして,ブラボー出ないはずがないもん。