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がんばれ必ずうまくいく

私は終わろうとするデートを自然に引き延ばすというのが実に苦手で,えっと,それから,あの,とか言いつついつまでもだらだら話題を探してしまう。相手にはおそらく,こちらの意図は明白である(ため,2度目がないことが多い)。そもそも『ルールズ』によれば,デートを「引き延ばす」などもってのほかで,デートは常にこちらから切り上げなければならないらしい。でも!次いつ会えるかわからない,やっと会えた相手との会話を,こちらからさらりと切り上げるなんてできますか?できませんよ!ずっと前から誰よりも好きだったあなたが「今度はいつ会える?」と不意に聞いてマジでキスをくれるのは『Majiでkoiする5秒前』の中だけですよ!やっと私に来たチャンス逃せないの!

で,何があったかというと,デートなんてもちろんしていない。異性と2人で会えばそれはどういう文脈であれ定義としては立派に「デート」なのだそうだが,私の場合は私1人に対して男性が2人であるためデートにはならない。ちなみにこれは,私がモテモテであるというわけではない。簡単に言いますと,指導教官2人と面談をしました。実に約4ヶ月ぶりに。

今日の目的はもはや1つだけだった。夏までに下書きを仕上げて年末には提出しますから,という宣言を聞いていただくことである。これはもはや「相談」ではない。もちろん面と向かうと切り出しにくいであろうことは百も承知であったため,前夜から「Research plan」と題された書類をメールで送り,こういうつもりだと一方的に伝えておいた。ちなみにこの書類は今年のProgress Review(と呼ばれる進級試験代わりの面接)で提出しなければならないので,それの下書きでーす,と言えば自然に添付することができるのである。なんというタイミングの良さ。神が私に微笑みかけている。

面談は「まず聞きたいんだけど,奨学金はどうなってるの?」という質問から始まった。ほほう,そういう手で来るか,と思いつつ,奨学金は夏に切れますから新しい奨学金に応募することになります,と答える。すると「その奨学金は1年カバーするものなのか」と聞かれる。しかしここで「はい」と答えると「1年カバーされるならもう1年いなさいよ」となるのはわかりきっている。そこで切り札「フェローシップに応募するのです」である。そのフェローシップは4月から始まるので,そこに間に合わせようと思うから,お伝えした通り年末には提出したいと思っています。そのように伝えた。

指導教官2人の反応は,今から夏までに下書きを終わらせるのはかなり厳しいよ,というもので,予想通りだった。面と向かってはっきり言われるとやはり少しダメージがあったが,しかし私だって,賛成してもらえるとは露ほども思っていない。それは自分でもよくわかっていますが,私は締切を厳しめに設定する方が好きなんです,そうすれば推敲に時間もかけられるでしょうし,ですから厳しいとしてもやってみるつもりです,と答えた。すると「それはもちろんいいことだ」と言っていただけた。提出していた第4章の草稿について質疑応答があったあと,指導教官の1人が中座しなければならなくなったのだが,いずれにせよもっと頻繁に会うことにしようということになった。そのあと私は後に残ったもう1人の指導教官(こちらの先生がメイン)としばらく話していたのだが,その時までにほぼ話すべきことは話しつくしていた。他に何かある?と聞かれるも,ただでさえ私は頭がパンクしかけており,正常に思考ができる状態ではない。しかしなんといっても4ヶ月ぶりに会ったのである。他に何か,ないわけがない。そこで冒頭の話に戻るのだが,また「えーと」「あの」「うーん」とか言ってがんばって引き延ばそうとしてしまった。見苦しい女である。これ本当に,やめよう。29だし。しかしその引き延ばしている不自然な会話の中で,「心配しなくても博論は書けるから大丈夫だよ」「今が一番辛い時だから,ここを超えたらもうすぐ(almost there)だよ」と言っていただけたのはしみじみうれしかった。がんばろう。

ただし私の不敵な宣戦布告に対して先生方も厳しめに目標設定することにしたらしく,「じゃあ3月末にまた会おう,それまでにこの章を12000語にできる?」と言われ,こちらもこちらで「もちろん(Of course)」と答えたのだが,さっき計算してみたら,1日約1000語,間断なく書き続けなければ間に合わないようです。*1ああ,ずいぶん面白い展開になってきた。しかし長い長い学生時代を,10代にも増して勉強ばかりだった20代を締めくくるにはこれくらいのスパイスがないと。生きてるって実感するわ。まあいずれにせよ,やるだけやってみます。

こういう時に聴くのはSexy Zoneの『Keep the challenge』と決めている。「わかってる 夢をつかむその階段はきついよね」という冒頭に始まり,「君がもしも苦しいときには僕はきっと駆けつけるよ」「がんばれ必ずうまくいく」など,ストレートな温かい歌詞に,もはや泣きそうになります。20代後半の女には共感こそが何よりうれしいのですよ。わかってる,きついよね,でも必ずうまくいくよ,なんていい歌なんだ。そういうわけで,最近この曲の再生回数がやたら多い。

おまけ。ただ頭に浮かんだことが何だかもう少しで短歌だったのでTwitterにメモしたのだが,これ,解釈によってはなかなかセクシーになりうる,かもしれない。

*1:史料調査に行く日と学会に出る日とボルドー旅行の期間は抜いて計算してあります。