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一度にたくさん言われても頭になんか入らない

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今日の史料調査先,ドミニコ会女子修道院ザイオン・ヒル。最近もう修道院のことしか書いていないような気がするので,思い切ってこの日記を『今日も修道院』に改名してはどうかと考えている。嘘です。ただ最近は本当に,てんてこ舞いどころかきりきり舞いレベルに忙しいので,今後忙しい時はこっそり『今日もきりきり舞』にしようかという楽しい計画はある。

今日の目的はこのザイオン・ヒル*1支部に併設されていた女子校の史料を見ることだったのだが,校誌がかなり当たりだった。同窓会誌なので,以前に訪ねたアレクサンドラ・カレッジのものと似ている。研究にはまったく関係ないが,「卒業生だより」みたいなところに「本校卒業生の○○さんがこのたびめでたくご結婚されました!」というようなことがいちいち書かれるようで(これはアレクサンドラも一緒だった),戦慄した。当時の女性の幸せは一番に結婚と家庭であり/であるとされており,そこまではわかっているが,なんというこのプレッシャー・システム。現代のFacebookもそうだが*2SNSの基本的な目的のひとつが「同窓生と交流する」ことであるということを考えるに,その使われ方が同窓会誌とFacebookでそこまで大差ないというのは面白い。カッコつきの「学友」たちの(頼んでもないのに)結婚報告という暴力に悩まされるのは,今の女性も100年前の女性も同じであるようだ。なんか!なんか親近感が湧いてきちゃったな!

それにしても修道女の高齢化が著しいというのは聞いていたけれど,*3ここまでとは思わなかった。みなさんお元気そうではあったが,かなり高齢だった。今日私を手伝ってくださったアーキヴィストさんも今年89歳におなりだとのことで,最初歩行補助器を携えて現れた時には結構びっくりした。いよいよ体が動かなくなったりしたら,また別のところにある修道院の介護施設みたいなところに入るらしい。どうかみなさん,お健やかで長生きなさってください。日本人はかなり珍しかったと見えて,私はちやほやしてもらった。私の下手くそな英語でさえも「あなたの英語は完璧ね」と褒められる始末。うれしいなぁ。今日はお昼まで修道院でごちそうになり,デザートがゼリーだった*4のだが,私がゼリーを取りに行くと注目が集まり,そこかしこから「日本ではゼリーなんて食べるのかしら」という声が聞こえた。

夕方まで修道院で作業して,夜はRoyal Irish Academyで開かれるDavid Armitage大先生の講演を拝聴すべくダブリン市中心に戻ったのだが,今博論のコアのコアの部分を掘り下げている私にとってArmitage先生のお話は大きすぎて,面白かったけれど疲れた。そもそもタイトルが""Horizons of History": Time, space and the future of the past"。タイトルから内容がわずかばかりも想像できない。それどころか「future of the past」という言葉に困惑させられる。ただ,アメリカの研究者はこういうタイトルを結構好む気がする。私はペーペーだし,英語のセンスもないので,結論まで推察できるような実直かつ謙虚なタイトルを付けるよう心がけています。とりあえず今回の講演の収穫は,Armitage先生が思ったよりずっとお若くて気さくそうな方であったということだった。

こうしてようやく今日1日が終わったのだが,朝から晩まで外に出ていたというだけでとても疲れる。世のサラリーマンのみなさまやOLさんたちはこれが毎日なのですね。しかももっと長い時間。楽しかったし収穫もあったけれど,疲れて少し殺伐とした気分になったので,とても『Keep the challenge』など聴く気分になれず,今日はチキンバスケッツ『私のオキテ』を聴きながらがしがし帰った。一度にたくさん言われても!頭になんか入らない!シンプルに一つだけ!愛だけを叫べよ!ブスって言ったら殺すから!目力だけは負けない!

*1:それにしてもすごい名前ですよ。「シオンの丘」って。

*2:Facebookなんて名前からしてそうだし,このあたりのことは映画『ソーシャル・ネットワーク』でかなり言われていた。

*3:一定数の未婚女性が修道女にならなければ他に生きるすべがなかった昔と違って,今は女性に選択肢が多いから。

*4:修道院の食事は結構しっかりしている。