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Welcome back

今日も院生室にいて,部屋が暗くなってきたのでひざ掛けを巻きつけたままでよろよろ立ち上がってスイッチのほうへ向かい,スイッチを入れ,またよろよろと自分の席へ戻る……あたりで誰かが入ってきたのが見えた。誰かをよく確認せず,ハーイ,とおざなりに挨拶したところで気がついた。メアリーだった。彼女はお父様が肺がんを罹患なさったため,看病のために休学してシカゴに戻っていたのだが,*1休学期間が明けてこっちに戻ってきたらしい。ああ,びっくりした。もう博論を出して私がダブリンを去るまでに会えないかもしれないと思っていたので,本当にうれしかった。

でも同時に,お母様をひとり残してこちらに戻ってくるのは,たいそう後ろ髪をひかれる思いだっただろうなとも思い,なんだか複雑な気分になった。お姉さんが今はシカゴでお母様のそばにいるのだそうだが,お姉さんはプロの音楽家なので,しばらくするとまた世界を飛び回るようになるのだろう。そうなるとやはり,いずれはメアリーがシカゴへ戻るんだろうか。ずっと前メアリーと将来どうするか話した時は,博士の後もアイルランドに残りたいと言っていたが。幸い,シカゴにはアイルランド研究の拠点のひとつもあるし,もし彼女が戻るのだとしても,それによって彼女のキャリアが制限されることになりはしないだろうが。なんだか,いろいろ考えさせられる。第一,気丈にふるまってはいたけれど,お父様を亡くして辛かっただろうなと思うし,亡くしたことももちろんだが,闘病中のお父様に付き添うのも,本当に辛かっただろう。私よりずいぶん若いのに,本当にすごいなと思う。メアリーにはいつまで経ってもかないそうもない。

*1:お父様は昨冬逝去なさった。