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The Intern

こちらでは映画料金が時間帯と曜日によって異なっている。つまり一番安いのは平日昼間で,高いのは週末の夜とかそういう感じになる。週末の夜見ても一般で10ユーロしないくらいなので,日本の料金よりはずいぶん安いのだが,とはいえ安いプランがあるのならそれに越したことはないと,いつも平日昼間を選んで見ている(この前の『マクベス』は夜になってしまったが)。しかし平日昼間に映画を見たりすると,もちろんお察しの通り,1日がつぶれるのが難点である。今日はもうオフということにして,近所の素敵なシネコンに見に行った。10月は見たい映画が多いと先日書いたが,今日見たのはそのひとつ,The Intern*1

The Intern - Official Trailer [HD] - YouTube

アン・ハサウェイ演じるジュールズの経営するファッションウェブ会社がシニア・インターンプログラムを試み,そこにインターンとしてベン(ロバート・デ・ニーロ)がやってくるというこの物語,私は完全なるchick flick(女子映画)というか,恋に仕事に,ガンバレ☆女の子!的なやつ*2かとばかり思っていたのだが,同時に「恋に仕事に,ガンバレ☆シニア!」でもあったらしく,おばあちゃんが多く見にいらしていた。

ストーリーは心温まるし,力を抜いて見られるし,元気にもなるし,笑えるし,見て楽しい映画ではある。しかしなんというか,もう少しうまく作れなかったのかという気もする。こういう類の映画は何より起承転結が大切なはずで,この映画でいえばシニア・インターンがアパレル企業に雇われるだなんて,それこそ最初はもっとドタバタにしてもよさそうなものを,ベンは特に仕事に苦労するわけでもなく,一瞬にしてオフィスの人気者となり,仕事も有能にこなし,あっさりジュールズの信頼も勝ち得てしまう。ではその有能なベン,"Experience never gets old"とこの映画のキャッチコピーにもあるように,人生経験を活かして若者たちに有益なアドバイスをするとか,ものすごいピンチを切り抜けるための秘策を切り出すとかするのかと思えば,特にそれもない。インターン同期の若者に「ハンカチなんて持つ意味ないんじゃないかか」と聞かれた時,「ハンカチを持つのは,それを貸すためさ。泣いている女性とかにね」という,えらくおしゃれな答えを返すなど,女性にモテるコツを伝授するくらいである。さらに「転」にあたる部分であるはずの「大ピンチ」も,えっ,それだけ?と拍子抜けするようなもので,さらにその解決にいたっては脱力ものである。またこういう映画の定石は,男と女にしろ女と女にしろ,「最初は反発しあう二人」なのだが,ジュールズは特に烈女として描かれているわけでもなく,また嫌味なビッチとして描かれているわけでもなく,最初はシニア・インターンなんて厄介だと思いつつもすぐにベンを厚遇するようになる。別に定石を踏むのがいいというわけでもないが,すべてが「生煮え」な感のある作品であったのが残念である。

しかし,あのデ・ニーロが「シニア・インターン」の役を演じるようになるなんて。まあ,それは日本の俳優でもそうなのだが,Vシネマなどのイメージの強い強面の俳優もいずれは齢を取り,おじいちゃんの役を演じるようになる。特にデ・ニーロの大ファンだというわけでもないが,感慨深いものである。この映画のデ・ニーロは本当にチャーミングで,観客のおばあちゃんたちも大喜びでした。ちなみにおばあちゃんたちは,時折出てくるちょっとした下ネタでも大喜びしており,女はいつまで経っても「女子」なのだなあとしみじみほほえましく思われました。

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

 

 

*1:邦題は『マイ・インターン』。


映画『マイ・インターン』予告編(120秒)【HD】2015年10月10日公開 - YouTube

*2:私はこういうのが大好きなのです。