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費用対効果

時期尚早かとは思いつつも,帰国後の様々な就職可能性について調べておこうと思い,先日から様々な先輩方にメールを送っている。

博士取得後,可能性としては大学で非常勤講師をする例が多いだろうが,私は高校の教員免許を持っている。そして私は現実的にも理想的にも,ぜひ高校で教えたいと思っている。現実的な理由としては,大学の非常勤が週1~2コマだとするととてもまとまった収入は見込めないのに対し,高校なら1校決まればそれなりにまとまったコマ数が与えられ,少ないなりにもまとまった収入が望めること。そして理想的な理由としては,将来的に大学の教員になろうとするなら,高校でも教えておくに越したことはないのではないか(特に入試を作ることとかを考えた場合)と考えているからである。しかも大学でのキャリアが軌道に乗れば,いよいよ高校で教えることはほぼ望めなくなるのだから,タイミング的に考えても博士号取得直後というのは最善だろう。そう考えて,高校で非常勤をなさった先輩にも伺ってみた。

先輩からいただいたお返事を要約すると次のようであった。まず,高校教員は時給換算すれば好条件かもしれないが,授業の準備に時間を取られることなどを考えると必ずしも「割がいい」職業ではないこと。また,大学の公募条件に多いのはあくまでも「大学で」教育経験があることなので,大学に応募する際にはあまり使えないことが多いこと。以上のような理由から,教える技術を磨くためには高校で教えるのもいいが,できるだけ大学の非常勤を狙った方がよいのではないか,とのことであった。厳しめの現実が書かれてはいたが,おおむね私の想像通りではあったので,確かに大学の非常勤の方がキャリアの足しにはなるかもしれないが,やはり高校の非常勤もやってみたいという考えが変わることは特になかった。何より,「割がいい」仕事なんて,そもそも駆け出しの時点で望むべくもなかろうと思っていたからだ。

ところで私は今,TAとして受け持っている学生のエッセイの採点をしている。エッセイは2000語でそれなりの分量だし,読んでコメントして採点するとなるとまあまあ時間がかかる。特にこの「コメント」が難しい。先日TA向けに開かれたワークショップに出たとき,努力目標として,せめて3行はコメントを付けてあげましょうと言われていた。3行×人数分となると結構な分量だな,とその場では思っていた。しかし,いざやってみるとこうなった(英語の間違いはご容赦いただきたい)。

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ちなみに,今日は10人ほどのエッセイを採点してコメントを付けたのだが,これで短い方である赤ペン先生ならびにZ会も真っ青であろう。

しかし,これではっきりわかった。私に「割のいい」仕事などどだい無理であり,こと教えるとなると,私はこうなる。おそらく高校の教員の仕事のコストパフォーマンスが悪いからと言って大学の教員になったとしても,結局こうなるだろう。そもそも私が仕事に費用対効果を求める人間であれば,もっと賢い生き方をしてコンサルにでもなっていただろう。研究者になろうなどと考えた時点で割が合わないことは確定しており,さらに教育に携わろうなどと考えればますます割が合わなくなっていく。ディズニーリゾートでキャストのアルバイトをするようなものだ。お金目当てではつとまろうはずもない。そしてディズニーのキャストと同じで,唯一幸いだったのは,私は研究も教育もえらく好きらしいということだ。特に後者に関しては,心底よかったと思っている。教育が好きでない研究者は多くいるが,見ていられないほど辛そうである。