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西欧の端で婚活パーティーへの参加を叫ぶ

先日書いた記事の中で「婚活パーティーに参加する」と書いた*1のだが,それが予想以上に多くの方に読まれた。というか,今も読まれているようだ。私は思いがけず,5万人規模の方々に向けて婚活パーティーへの参加を宣言したことになる。いや,まあ,隠すつもりもなかったからいいのだが,叫ぶつもりもなかった。まあ,いいけどさ。ちなみに5万人規模というのがどれほどかというと,ドームの観客数である。嵐のコンサートで松潤が「7万人幸せにしてやるよ」と言うのと同様に,例えていうならば私はドームの観客に向かって「婚活パーティーに参加してやるよ」と叫んだということになる。

それはそうと,「婚活パーティーに参加する」ということを最も知られたくない相手というのは誰であろうか。私の場合,それは家族,特に親であった。ちなみに私は,以前にも婚活パーティーには参加経験がある。前々から面白そうだと思っていたところ,タイミングよくこちらのあややさんの記事*2を読み,いよいよ興味を持って調べてみたら,一時帰国中に郷里の岡山で婚活パーティーがあるという。それを知った私は,即座に友人に連絡を取り,ちょっと行ってみないかと誘惑したのであった。断られるかと思いきや,友人はこの企画に対してとても積極的であり,現在海外在住でパソコンのメールアドレスしか使えない私よりも,携帯のアドレスが使えた方がいいだろうと気をまわして自分で予約までしてくれたのであった。ちなみに余談ではあるが,思わぬ彼女のノリの良さに瞠目した私は,その流れでキスマイのライブ*3にも行かないか,と声をかけたのだった。彼女は当時,ジャニーズには特に興味がなかった。しかしこちらも二つ返事で引き受けてくれ,さらにどうせ行くのならと念入りに予習までしてくれた結果,彼女は二階堂高嗣に夢中になり,今や立派なジャニオタである。……非常に責任を感じている。*4

少し脱線したが,こうして私は人生初の婚活パーティーに参加したのだった。どんなものやらと思っていたが,普段話す機会がないような人たちと短時間ではあっても話すのはとても楽しかったということは,これも以前にも書いた通りである。*5そして私は楽しく帰ったのだが,この婚活パーティーにはその後談がある。婚活パーティーでは,様々に記入するものがある。プロフィールカードに,パーティー途中で「どの人を気に入っているか」番号に印を付けて提出するカード*6などである。さらに,会場で配られるパンフレットもある。私の失敗は,これらをそのまま鞄に入れておいたことであった。当たり前だ。こんな面白いものを捨てるわけにはいかない。友人らにできるだけ見せびらかそうと思っていたのである。それ自体は,別に悪いことではなかったかもしれない。しかし最大の失敗は,それを入れていたのが母から借りた鞄であったということであった。

悲劇はいつも,主人公の知らないところで起きるものである。その時も私はリビングの椅子で昼寝していた。そして母の魔の手は件の鞄に迫っていた。母はその鞄を片づけようと思ったらしく,鞄の中身を取り出し始めたのである。「ちょっとあんたこれ何?」ブツに気づいた母は慌てて私を起こす。「これって何よ」気持ちよく昼寝していたところを起こされた私はまだ夢うつつであり,しかも苛立っていた。「なんかこの婚活みたいなやつ」そこでようやく,私は目が覚めた。母が持っているものは明らかである。まずい。非常にまずい。しかしここは何とかして言い逃れねばならない。「い,いや,それはこの前駅前で配っとったから」母が持っているものがイベント会社のパンフレットだと推察し,私はとっさに嘘をついた。「配っとったって,あんた,これ,あんたの字が書いてあるが」母が持っていたのはもちろん,私が書いたプロフィールカードであった。私は母に事の顛末を白状せざるを得なかった*7が,何より屈辱的だったのは,私の自白を聞いた母が「それ(プロフィールカード等),(ほかの家族に)わからんように捨てといてあげようか?」と気遣ってきたことであった。私は今まさに「腫れ物に触られている」のだと気づく,この悲しさと言ったらない。

さて,これが前回の婚活パーティー親バレの顛末なのであるが,今回はどうか。もちろん今回も,余計なことは言わないでおこうと思っていた。案内を見て申し込むまでは,そのつもりであった。今回参加するのはちょっと特殊な婚活パーティーであり,去年同じパーティーに参加した友達からいくつか情報は仕入れているのだが,あれ,なんか去年とは違うみたいだ,とは思っていた。たとえば去年は「『結婚』をテーマとしたグループディスカッション」(なんだそりゃ)が行われると事前に知らされており,「準備」をしてきてくださいとの通知があったようなのだが,今回はなかった。そして,クリスマスシーズンであるということもあり,去年は「緑か赤のものを身に着けてきてください」とのドレスコードがあったらしい。しかし今年はその様子はない。よかった。パーティーに使えるような緑や赤の服は,少なくともこちらには持ってきていない。本当によかった。当日はとりあえず手持ちのパーティー向きの服を着て出席すれば,すべて秘密裏に事を運ぶことができる。ミッション・コンプリート……

と,本当に秘密裏に事が運んでいれば,この記事が書かれることはなかったので,読者諸賢にはおそらく感づかれていることであろう。このパーティーの参加費が先振込み方式であったことも,すでに述べた。私がこのパーティーに申込み,参加費を振り込んだのは金曜日であった。すべてうまくいったと安堵していた。そして,みなさまお察しの通り,月曜日に振り込み確認のメールが来た。そこにはこう書いてあった。

当日のドレスコードは「ビジネスカジュアル」です。加えて、クリスマスに因み、赤色または緑色のものを身につけてご参加いただきますようお願いいたします。

またしても,万事休す,である。

もちろん,この期に及んでまだ親の目を欺くことは可能である。「赤色か緑色のもの」は服とは書いていない。つまり,何かしら赤色か緑色のものを身に着けることによって,隠し通すことは可能である。実際に,私も考えた。幸い私はクリスマス本場の欧州に住んでいる。クリスマス向けのアクセサリーなどはかなり多く売られている。当日は普通に手持ちの黒いワンピースなど着て,それにアクセサリーをつければいいのではないか。そうも思った。しかし私は思い出してしまったのである。この秋にモスグリーンのワンピースを買ったことを。そしてそれは,私が荷物を置かせてもらっている,父方の祖父の家に置いてあることを。さらに悪いことに,私が帰国するのに先立って,妹が折よく上京する予定であることを。

ここまで来て,私はようやく諦めた。まず,母に当該パーティーの案内メールのスクリーンショットをLINEで送る。「これに参加しようと思う」との但し書きをつけて。「つきましては」,靴箱に入っているサテンの黒のハイヒールを出して妹が上京する時に持たせてくれないかと申し伝えた。さらに妹にも同じスクリーンショットを送り,「つきましては」,じいちゃんちから緑のワンピースを取ってきて,上京の際にそれを持って行ってくれないかと申し伝えた。私も妹も,上京したときには叔父の家に居候しているので,そこに荷物を置いておいてもらえば私は問題なく受け取ることができるのである。妹が上京する日,母からは「寒かったらいけんからカーディガンも入れといたよ」とLINEが来た。しかしそのカーディガンというのは,冬場の結婚式のときに羽織るような,羽毛の付いたかなりフォーマル度の高いものである。とても使えない。「ありがとう,でもあんなん着たらものすごく気合い入っとるみたいじゃが」と抵抗した私に,母はこう畳み掛けた。「気合い入っとんじゃろ?」……はい,まあ,そうですね。気合い入ってない,と言ったら嘘になりますね。

そういうわけで,私の婚活は今回もばっちり親に露見している。しかしながら,一番知られたくない人間に知られてしまうと,もうどうにでもなれと思えるものである。なにはともあれクリスマスシーズンにパーティーだなんて,寂しいシングルの人間には大変な贅沢である。楽しいといいなと思う。

そして私が何の婚活パーティーに参加するのか,わかる人には簡単にわかる書き方をしております。もし読者諸賢の中にこちらに参加する方がいらっしゃいましたら,完全重複した服装の方がいらっしゃらない限り,モスグリーンのワンピースに黒サテンのヒールが私です(カーディガンは普通のかもしれませんが)。男女問わず,お気軽にお声をおかけください。

*1:

mephistopheles.hatenablog.com

*2:

moarh.hatenablog.jp

*3:2014年のコンサートツアー「Kis-My-Journey」

*4:なので,彼女にはその後も婚活情報をシェアし続けている。

*5:

mephistopheles.hatenablog.com

*6:このカードは,相手側の情報と照らしあわされたのち,相手側から自分への記入がどれほどあったかという点について付記された状態で返却される。

*7:ちなみに私調べによると,このように婚活していることが何らかの事情によって親に露見するというのは,「自分が寝ている時」が非常に多いようです。内緒で登録した結婚相談所や類似サービスから電話がかかってくるなど。秘密裏にことを進めようとしている婚活中のみなさま,どうぞお気をつけくださいませ。