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2016年の予定と目標

遅ればせながらみなさま,あけましておめでとうございます。年末年始,というか12月末から1月いっぱい,日本で過ごしておりました。昨日の朝,ダブリンに戻ってまいりました。

そして,この帰国中に30歳の誕生日を迎えました。この節目の年をいかに過ごすかということについて,現在まだまだ考え中ではありますが,とりあえず9月までの約半年間はとにかく「イライラしない」「体調管理」を目標に据えようと思っております。この半年間とはすなわち,ダブリンで過ごす最後の半年間です。「イライラしない」と「体調管理」,なにも即身仏になろうとかそういう意図はありません。まず前者は,ほぼすべてにおいてストレスフルだったシェアハウスでの生活についてです。もう今後何が起こっても,「あと半年だから」と自分に言い聞かせ,すべて受け流す所存です。それから後者は,言うまでもなく博論の総仕上げに際してです。これはなにも,ただ風邪に気をつけるとかではなくて,自分のキャパシティを超えないように気をつけようということです。帰国前にも3日連続でジムに行って体調を崩したりなどしておりましたし,実はこの帰国中もとても胃の具合が悪くなって内視鏡検査をしたりした*1のですが,これらの経験から気づいたことは,体力のない私はどうやら,やりたいことを全部やったら破綻するということでした。この教訓を活かし,あれもこれもやりたいことはあっても,その8割方できればよしとする,という方針で万全の体調を維持したいものだと思っております。

さて,その半年間を超えたのち,つまりは博士論文を提出して本帰国したのちの予定なのですが,そしてこれが今回の本題なのですが,現時点では,いったん(少なくとも1年ほど?)岡山の実家に戻って,主には高校教員として働こうかなと思っています。

これには消極的な理由と積極的な理由の両方があるのですが,まず消極的かつ現実的な理由を言うと,大学の非常勤の給与で東京で一人暮らしをするのはかなり無理があるだろうという結論に達したからです。それでも東京で非常勤をやりながら論文を書くなどして時機を待つべきだというご意見もいただいたのですが,東京でカツカツで生活したらどう考えても心が荒みますし。それでも仙人のごとくに赤貧に甘んじながら学究のみを幸せとして生きる,という道もそりゃああるでしょうが,率直に言うと私にはそんなの無理だ。衣食足りて礼節を知るとはよく言ったものですが,まずは衣食住を無理なく確保できる状況にありたいものだし,そこで無理をすることに何の意味も見いだせないと思ったのです。そして,大学の非常勤なら掛け持ちしてもせいぜい週2コマか3コマですが,高校なら比較的まとまったコマ数がいただける。だったら主には高校で教えつつ,もし岡山近郊の大学でも非常勤のポストなどいただけるなら,行ける範囲で大学でも教えられたら言うことはないな,というのが現時点での目論見です。

続いて積極的な理由としては,いずれ大学で教えるとするなら,高校で教えることは間違いなくよい経験になるだろうと,昔から考えていたからです。まず大学で教えるということは入試を作ることも含まれるわけで,そうなると高校でどのようなことが教えられているのか,現場で把握しておくのはプラスであるに違いない。教育実習もとても楽しかったし,できれば人生でもう一度くらい高校の教壇に立ちたいものだとは,これも昔から考えていました。大学のキャリアが軌道に乗れば,それは不可能になります。だったら今のうちしかないだろうと考えた,というわけです。

しかしこうなってみると,「一応」のつもりで取った教員免許がずいぶん身の助けになっていることに気づかされます。実際に仕事があるかどうかはまだわからないにしても,精神的にずいぶん違う。研究者志望の学生たちは,四の五の言わず教員免許を取るべきだ。面倒臭いとか甘ったれたことは言わずに取るべきだ。いや,本当に。私が持っているのは地理歴史なのですが,できれば主要三教科(国・数・英)のどれかを持っておけばなおよいだろうなとも思います。たとえ教員になるつもりがなくても,やっぱり免許というのは持っておいて損がないですね。運転免許もそうですが,今東京にいるから運転の必要がないという人でも,どこかのタイミングで地方に移住することになったり,また介護の必要が生じて車が必要になったり,などは十分考えられることです。私は教育実習に行きたかったから教職科目を取っていたようなものなのですが,大学1・2年の頃の自分を全力で褒めてやりたい。毎日毎日5限や6限まで残っていなければならないのに,よくがんばったよ,本当に。

ちなみに,この計画遂行のために,今回の帰国中,岡山県,そして岡山県の私学協会,さらに玉野市の教育課に履歴書を送り,講師登録をしてきました。ついでに,高校時代の恩師が現在岡山県教育委員会にいらっしゃるので,お話を伺えればと思ってお会いしてきました。お話を聞く限りいろいろと柔軟に働けるようで,たとえば私のような経歴の人間だと,臨時免許状を発行していただいて英語を教える,とかいうのも可能であるそうです。特に今はグローバルハイスクールなどの流れで,高校でも英語で授業をできる人材の需要があったりもするそう。*2さらに高校の非常勤とかいうと,採用試験浪人中の志の高い方ばかりかと思っていましたが,たとえば教員免許を持っている主婦の方が無理のない範囲でパートとして勤める,とかいう例も多いようです。なるほど都道府県の採用試験を受けずとも,講師なら全国どこででも登録ができるし,そういう意味ではたとえば夫がどこに転勤になって,それに帯同することになっても勤められるということで,教員免許は女性にとって特に強みになるのではないかとも思いました。ああ,返す返すも取っておいてよかった。公文式,ピアノに加え,人生3大「やっててよかった」ものにランクインです。

しかし,意外にというかやはりというか,この計画を告げると「博士まで出るのにもったいない」という声も多少聞かれました。*3でも,永遠にパートタイムの高校教員をやるつもりもありませんしね。いずれは大学で教えたいと思っていますし,そのための教育者としての修業のつもりでおります。やるならせめて非常勤にしておけ,常勤以上になると部活やら修学旅行やら入ってきて煩わしいから,というご助言もまたいただいたのですが,え,部活も修学旅行も,今のところ,やらせていただけるならやる気満々なのですが。えー部活何やろっかなーやっぱりESSとかかなー,修学旅行って今どこ行くのかなー美ら海とか行けるのかなー,などなど,楽しい妄想がとめどなく溢れてとどまるところを知りません。私自身こういう人間ですし,それに「博士まで出て」とか「東大まで出て」とかいう意識は,私には毛頭ないのです。綺麗ごとのようですが本気で。東大も留学も博士も,私がやりたいことをやったまでで,「それにふさわしいキャリア」などという野心は特にない。むしろこの齢まで働きもせずに学生だったので,もっと広く世界を知らねばという意識の方が強いのです。そのためならコンビニのバイトだって,喜んでやるのだが。どうもこういうものは,本人より周りの方がやきもきするようですね。ご心配をおかけしているのは,多少申し訳なくもあるのですが。ただし,かといって一般企業に入ってしまうと(入れるかどうかは別として),それからアカデミアに戻ってくるのは至難の業だろうから,やはり教職に限ろうと思ったという,それだけのことです。それに,中等学校(secondary school)で教えるということがまるで大学で教えることよりも下等であるようにみなされているのも,日本を含む少数だけなのではないかと思います。こちらの友人にも,博士を出たらしばらく実家に戻って中等学校で教えるというつもりの人はそれなりにいますし,現に私の指導教官も,しばらくの間中等学校で英語(つまり国語か)を教えていたそうです。それが屈辱的経験だとでもいうような話は,今のところ誰からも聞いたことがありません。それどころか両者とも,とてもいい経験としてポジティブにとらえています。それを考えるとやっぱり日本社会って,変に(結果論としての)学歴にこだわるところがあるよなあ,と実感する次第です。

とはいえ憂慮されているように,アカデミアから完全に離れるつもりは,上に繰り返し書いてきた通りまったくないのです。幸いなことに,私は現在研究員として京都大学人文科学研究所の研究班に所属しているので,多ければ2週間に1度,その研究会に足を運ぶことができます。そういうわけなので,田舎でもできるだけのことはやるつもりです。留学から帰国した後というのは投稿論文を書いたりして自身の成果を発表しなければならない時期で,そんな仕事をしながらそれが可能なのかとも聞かれましたが,これに関しては,ちゃんと自覚してやるしかないでしょうね。とはいえ,それも見越して今の時点で用意している論文ももう数点あるし,とりあえずはこれらを早いところ発表しようというところです。

私の今後1年間の目論見は以上の通りです。こんなことをこんなところに書いて誰が喜ぶんだという話でもありますが,まあ,とりあえず決意表明として書かせていただきました。今回の帰国の主目的は婚活と就活に着手するということでしたが,その目標は無事達成できたということをこちらにご報告いたしたい所存であります。

私はいつも,目先の目標の「その先にやりたいこと」を考えて自分を奮い立たせる人間なのですが,今回も目先の目標(博論提出)の後でやりたいことが定まったので,何はともあれ楽しくて仕方ありません。9月以降は今までとまったく違う環境でまったく違うことをやるのだと思うと,本当に楽しみです。手始めに,NHK高校講座の世界史と日本史と地理とか録画してしまいました。今日見よう。さらに帰国中,実家の勉強部屋の大掃除をし,持ち帰った本を置いたり新しい電気スタンドを設置したりして,研究環境を整えました。とはいえ勉強部屋は普段は妹と父が使っているので,整った環境が本帰国まで維持されることを祈るばかりです。

そしてもちろん,博士論文の総仕上げをがんばらなければ。帰りの機内で小保方さんの手記を読み,いろいろ他山の石とすべきところがありましたが,まあ長くもなってしまったことですし,このことについては,また稿を改めます。

*1:幸い,胃には何の異常もありませんでした。ストレス起因だろうとのこと。

*2:ただし,現時点では理系に多いそうだが。

*3:ちなみに両親は特に何も言いませんでした。私のことは放っておいても問題ない,との考えのようです。